nana

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関係者以外立ち入り禁止 ❶ ん?もうこんな時間かあ。 あ!空が真っ赤に染まってる……!今日はいい夕日だね。あん時みたいだ。 ――綺麗だなあ。 オレがトグロで最初に見た光景も、こんな風だった。 助けてくれた大人、医療班の先生、同年代の皆がオレを取り囲んで心配してくれてさ。 医務室、つっても……廃ビルばっかだからさ、窓が吹き抜けてて。 ――みんなの顔が夕日に染まってたんだ。 オレが目を覚ました時、大人達のホッとした顔がみえてさ。今のダチ達は先輩ぶってトグロのルールを話し出すんだ。 オレにはさっぱり状況が理解できなくってね!はははっ。 そんなアイツらを、オッサンと先生がたしなめてて。ふふ、まるでさあ、違う世界に迷い込んだみたいだった! オレのゆうひって名前の由来も、この光景から名付けたんだよ!綺麗だろ? ✄-------------------‐✄ ❷ ――でも、不思議だな。あの光景以前の事を、オレは全く覚えてないんだ。 母さんの顔もぼんやりとしか思い出せなくて……父さんは……思い出そうとすると気分が悪くなる。 ……オレは、母さんが死んでからどうやってあそこに行ったんだろう。 俺が発見された路地裏の事もそうだ。 それが昔の記憶の残骸だって事は知ってるけど、大人は「思い出さなくていい。お前の為だ」って。オレをあそこから遠ざけようとするんだ。体が震えて動けなくなっちゃうから…… ――でも、オレは強くなりたい。忘れたままじゃなくて、受け入れて前に進まないと。 この町のみんなを守ってく為に、もっと強くなりたいんだ! 思い詰めちゃいないよ。俺の取り柄は笑顔と我慢強さだからなー! ははっ、まぁおっさん達の言う通り、焦らないのが大事かもな。 オトナ、だろ? じゃ、オレはそろそろ手伝いがあるから。またなーーっっ!

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