nana

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「はぁ…ぜぇ…はぁ…しぬかと思ったです」 びしょ濡れで、息を切らしながら、四つん這いでリンデは呟く。 「やばかったね…アストが助けてくれなきゃしんでたね」 水を含んでずっしり重くなったローブを絞りながら、意外と余裕のイリス。 アストはプルプルと水を弾いている。 「なんで勝手に川に落ちてるですか!このドジっコめ!って、ここ…どこです?暗いのです。『火の精霊よ、、』」 「まって、明かりが見える」 魔法を使おうとしたリンデを、イリスは制止する。 「イリスは、人の魔法ジャマするのが趣味です?」 リンデはふてくされた! 真っ暗と言っても、互いの位置はわかるくらいの薄暗さだ。まぁ、光はなくても良いだろう。 明かりが見えるということは、誰か人がいるかもしれない。人に見つかるのは避けたい。このご時世、魔女というだけで、何をされるかわからない。 が、それより服を乾かしたい。 「あっ…アスト…!どこへっ」 何かを嗅ぎつけたアストが、明かりの方向へ突然耳を立てて走り出す。 「追いかけるです!」 ふたりは、後を追って駆け出した。 薄暗い洞窟の中に、うっすらと光る灯火。 そこに立つ、ひとりの女性。 「きれいなお姉さん…あれが…エーレだ」 なんとも、神秘的な雰囲気がする。 年頃は、自分達より少しお姉さんだというくらいだろうが、殆ど魔力のないイリスでも、何か圧倒的な力を感じる。 岩陰から覗きこみながら、イリスは目をキラキラさせた。  エーレだという確証は無いが、何故かその女の人は、エーレだとわかった。 「あっ…!」 イリスが、何かを言いかける。 「しーっ!ほんとにエーレなら、災厄の魔女です!見つかったらわたしたちころされるかもです!」 後ろからリンデは、両手でイリスの口を塞いだ。 「エーレは、そんなことしないよ…」 「知り合いか!…です!」 そうツッコミつつも、リンデも、何か初めて会ったとは思えないような、懐かしいものをエーレから感じ取っていた。 「むしろ知らないのか!ボクたちはもう邪魔者っぽいから消えよう」 「ここまできて!?」 もしかしたら世界を救う英雄になれるかもしれないチャンスなのに!…というセリフは、リンデの心の中にしまっておく。 「きっと大丈夫。もうおなかすいて泣かなくてもいい世界になる」 何かを達成したような顔で、イリスはそう告げた。そんなイリスを見て… ぐーーっと、リンデのお腹が鳴った。 「おなかすいたです。お母さんの作ったまずいスープが恋しいです…ん?わたしお母さんなんていたです?」 何か不思議な感覚に襲われるリンデ。 自分達姉妹は、生まれた時から両親がいなくて、村の大人達に育てられてきた…筈。 お母さん代わりは居たが『お母さん』と呼べる人なんて… 「ボク達のママは、ドジだからねー。さぁ、本来いるべきところにもどろうー」 お前が言うなよ…というイリスの台詞をキッカケに、全てを思い出す。 自分達ふたりに、課せられた使命を。 「…はっ…そうでした!わたし実は、すごい魔法使いでした。反作用で忘れてました。全く、人騒がせな両親を持つと苦労するです!」 嬉しいくせに、素直じゃないリンデに対して、 イリスは、ニシシッと笑ってその返事とした。 「「それじゃあ、また会おうね、アストと…エーレ…」」 賑やかな小さな魔女達が居た場所に、静寂が訪れた。 …………………………… シクレですが、折角なのでBGMお借りしました🙇‍♀️ お借りしたBGM『夢の境界』 碧音様 https://nana-music.com/users/3805993 …………………………… 🌻アストさんを殺してしまったので、エーレさん目線から話を続けるべきか悩んで、 いや、ここは第三者目線からいこうってなったものの、新キャラ増やすとややこしいので、 できるだけ簡潔に終わらせようとした結果、こうなったw 多分きっと、色んな未来があるw ⚠️アストさんとエーレさんのイチャラブが読みたい方は次の話へ。。。← もうお腹いっぱいな方は、ここでやめることを強くオススメしますw #BGM #オリジナル #声劇 #台本 #朗読 #小説

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UTAO
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