BRAVISSIMO―ブラビッシモ―

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第7話 歌とダンスを楽しもう！ ─マチネ─ ♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪ 次の日、舞歌は学校を休んだ。 結局あの日ステージで歌を歌っても舞歌の影は消えることは無かった。見慣れない落ち込んだ様子の舞歌がひめるには気がかりだった。 なのでひめるは凛と共に舞歌のお見舞いに行くことにしたのだった。 「……ひまわり園？」 担任に教わった住所は『ひまわり園』という名前の施設だった。どうやら両親を病気や事故で喪った子供たちの施設らしい。 入口で要件を伝えると舞歌の部屋に案内してくれた。冷えピタを額に貼って横になっていた舞歌は2人の姿を見て目を丸くした。 「あっ、熱があるんですよね？そのまま寝ていて大丈夫ですよ！」 「え、何でここに！？ていうか、ここに来てびっくりした、よね？」 「いえ、そこまでは」 「えっ！？！？」 気まずそうな舞歌だっが、ひめると凛の態度はあっさりとしたものだった。 「具体的には分からなかったけど、何となく事情があるんだろうってことは気付いていたよ」 「そうだったの！？」 公園やファミレス、カラオケなど金銭的に負担にならない場所。貸してくれたDVDや雑誌、招待してくれた舞台。思い返してみれば皆が舞歌の負担にならないようにしてくれていた。 その思いやりに舞歌は思わず破顔した。 「それよりも具合は大丈夫ですか？」 「うん。朝からずっと私の影って何の気持ちなんだろうって、見えないなりに正体を突き止めたくて考えてたら何か熱が出ちゃって……」 「知恵熱ってことかい？」 凛の問いかけに舞歌は恥ずかしそうに照れ笑いをする。けれどそれだけ悩んだということだ。 「影がどんな気持ちか突き止める、か……」 「私はロビンさんにミュージカルが好きだと言われたこと、唯さんは昔のお友達、井出奈先輩はコンクール、歩夢さんは舞台の仕事……全員が影に出会う前に何かきっかけがあるんです。それが手がかりになりませんか？」 「きっかけ……」 その言葉に舞歌は昨日の出来事を振り返る。そして何かに気付いたように目を見開いたが、すぐに表情を曇らせた。 「何か気づいたんですか？」 「いや、ううん、あるといえばあるけど。あんまり大したことじゃないし……」 「違ってもいいさ。どんな事だい？」 「みんながちゃんと将来のことを決めてて、何だか……置いてかれちゃうみたいな気持ちに少しなったんだけど。でも、皆が頑張ってるのにそういう風に思うのは良くないことだよね」 「大したことじゃないなんて嘘だね」 「ええ、すごく寂しそうな顔をしてます」 「ええっ！？」 舞歌はぺたぺたと自分のほっぺたを触る。 両親が事故で亡くなってとても寂しい思いをしたけれど、今は優しい先生に囲まれて、施設の他の子供たちとも本当の兄弟みたいに仲が良くて幸せだと思っていた。 でもミッドナイトシアターに呼ばれてから、ミュージカル好きのみんなと過ごす時間は本当にとても楽しくて。この関係が崩れてしまうのをどこかで怖がっていたのかもしれない。 「私、自分は幸せだって、寂しいなんて思ったら皆に申し訳ないって思ってたけど……寂しかったんだ……」 実際に口に出すと、その言葉は舞歌の心の中にストンとおさまった気がした。 「寂しいと思うことは悪いことじゃないさ。ずっと引きずってたらよくないけどね」 「はい。そういう時は、その……わ、私達が元気にしますから。そもそもステージに立つように私を誘ったのは鳳さんなんですから、ここでへこたれたら困ります！」 「……！！うん！ありがとう！」 2人の励ましの言葉に舞歌は大きく頷いた。 そしてその夜。ミッドナイトシアターにやってきた舞歌は自分の影を真っ直ぐに見つめた。 『まいかのこと、見える？』 「うん。もうちゃんと見えるよ！だから私が皆と歌うところも見ててね」 ♪♪ 「Dancing Queen 」 ❤️鳳 舞歌(cv.Arisa) 💙井出奈 凛(cv.Ekaterium) 💜千田 ひめる(cv.はいねこ) 💚樹里 歩夢(cv.笑紅) 💛樹里 唯(cv.みりぃ) 💃全員 ❤️💙💜Friday night and the lights are low (金曜の夜、暗くなってきたわ) Looking out for a place to go (行き先を探すの) 💚💛Where they play the right music, (素敵な音楽が流れて) getting in the swing (ノッてる場所よ) You come to look for a king (そこであなたは”キング”を見つけるの) ❤️💚💛Anybody could be that guy (誰もが相手になりたがる) Night is young and the music’s high (夜は始まったばかりで音楽は盛り上がってる) 💙💜With a bit of rock music, everything is fine (あと少しロックが流れたら言う事なしね) You’re in the mood for a dance (あなたはダンスしたくなる) ❤️And when you get the chance (そしてチャンスがきたら) 💃You are the dancing queen (あなたはダンシング・クイーンよ) young and sweet, only seventeen (若くて可愛い、まだ17歳の) Dancing queen (ダンシング・クイーン) Feel the beat from the tambourine, oh yeah (タンバリンのビートにノッて、そうよ) ❤️You can dance, you can jive (踊りましょう、腰をくねらせて) Having the time of your life (楽しい時を過ごすの) 💙💜💚💛Ooh, see that girl, watch that scene (あの娘をご覧なさい、あの姿を見なさいよ) Digging the dancing queen (すっかりダンシング・クイーンでしょ) ♪♪ 歌い終わった舞歌は膝をついて、自分の影と目線を合わせて語りかける。 「気付かなくてごめんね。自分自身にも無視されてきっと寂しかったよね」 『ぱぱも、ままも、まいかをおいてっちゃったんだ……みんなもそうじゃないの？』 「そうじゃないよ！それぞれ別の進路に進んでもずっと友達だもん！」 小さな舞歌は大きな目に涙をたっぷりためながら問いかける。 『でも、それでもさみしいときは？かなしいきもちになったら、どうしたらいいの？』 「今まで通りだよ！ううん、このシアターに来たからもっと良くわかる」 自分で歌って踊る喜びを知ったから。 「苦しい時も悲しい時も、歌と踊りがあれば元気になれる！素敵な歌や物語が私に勇気をくれるから……だから私はミュージカルが好き！」 『……うん！』 初めて小さな舞歌が微笑んだ。 舞歌。両親がくれた名前には大好きなものが2つとも入っている最高のプレゼントだ。きっとこれからも寂しくなるときはあるだろう。でも大好きなミュージカルと仲間たちから勇気を貰い続けられるはず。 すると次第に視界が真っ白に染まっていく。小さな影も優しい笑みを浮かべたまま、溶けるように消えていった。 「……わっ！」 そして、舞歌は目を覚ました。 枕元にはお見舞いに来たひめるから借りたミュージカル映画のDVDが置いてある。 「どうしよう……」 舞歌はくふくふと悪戯っぽく笑い声を漏らす。 「夢から起きたばっかりなのに、もう歌いたくなってきた！」 そういうと、耐えきれずついに舞歌は声をあげて笑い始めた。その笑顔はいつもの、いや、いつも以上に輝く笑顔だった。 ♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪ ─ロビンの楽曲紹介─ 「Dancing Queen 」 今夜、上演させて頂きましたのは「マンマ・ミーア！」より「Dancing Queen 」です！ 「マンマ・ミーア！」は世界的に有名な音楽グループABBAの曲をメインとしたミュージカルです。エーゲ海のとある島に暮らすドナとその娘ソフィ、そしてその父親候補である3人の男性をめぐる笑いあり涙ありのコメディミュージカルとなっています。 その中でも「Dancing Queen 」はABBAの代表曲ということもあり、最も有名な1曲ではないでしょうか。この曲は落ち込むドナを励ますために親友たちが歌う曲でもあり、聞いているだけで心踊るナンバーとなっています。 5人のキャストたちの歌うダンサンブルなメロディーをどうぞお楽しみ下さい！ ♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪ ♪プレイリスト♪ ♬︎特別公演 https://nana-music.com/playlists/3699960 ♬︎メインストーリー ①https://nana-music.com/playlists/3694197 ②https://nana-music.com/playlists/3899808 ♪伴奏♪素敵な伴奏ありがとうございます✨ rain bank様 https://nana-music.com/sounds/0616b8c0 ♪Tag♪ #ABBA #ダンシングクイーン #DancingQueen #DISCOMUSIC #ステレオ #自己流アレンジ #rainbank伴奏 #108sound #鳳舞歌 #井出奈凛 #千田ひめる #樹里歩夢 #樹里唯