
素晴らしき紅マグロの世界
谷山浩子
🐈にゃんにゃーver. 今日、珍しく大人用の三輪車を 見かけたんです。 白髪のおばさんが漕いでいる その黄緑の三輪車は まっすぐの道の向こうから ゆっくりやってきて、 私の隣を通り過ぎました。 すれ違いざまにふと見ると、 後ろの車輪の間に付いたカゴの中に 新聞紙に包まれた 大きなマグロが一匹 水滴を垂らして乗っています。 水滴は、ぽつぽつと 来た道を記すように 道路に一筋の線を残していました。 すると。 その一筋の線の向こうから 猫が一匹、やってきました。 と思ったら路地からもう一匹 飛び出してきます。 その後にもう一匹、 追いつかんとばかりに 駆け足で一筋の線を辿って 近づいてきました。 三輪車を漕ぐおばさんは ゆっくりゆっくり まっすぐの道を進んでいきます。 その後を、猫が一匹、二匹、三匹… 路地からまた一匹 道沿いの家の庭から一匹… 猫がどんどん増えていきます。 猫たちはにゃあとも鳴かず 黙々と三輪車の後、いえ、 マグロの後を追いかけます。 この街にこんなに猫がいたんだ… と思うくらい猫の数が 膨れ上がりました。 テレパシーで呼んでいるのか マグロの香りが強烈なのか 猫たちは迷いなく通りに出てきて、 おばさんの後を追いかける 猫行列に混じって 黙々と進んでいきます。 やがて、三輪車のおばさんと猫行列は 大きな公園の前を通りかかり 遊んでいた子どもたちが、 目ざとく見つけます。 「猫がマグロを追いかけてるよ!」 子どもたちは口ぐちに呼び合いながら 猫の列を追いかけました。 それを見た大人たちが 「ついていってはいけません! 何かあると危ない!」 と追いかけます。 おばさんはバス通りに出て さらにゆうゆうと三輪車を走らせました。 たくさんの猫たち、子どもたち、 大人たちが三輪車を、マグロを 追いかけます。 さて。 ここまで読んだ方がいるか わかりませんが 問題です。 このおばさんと 追いかけてきた一軍は どうなったでしょうか? 1. おばさんはそのまま海まで 三輪車を漕いでいき 何食わぬ顔で海に飛び込むと 猫も人もそれに続いた。 すると猫も人も紅マグロになり そのまま海の旅が始まった。 2. 猫たちがマグロに追いつき、 飛びかかって食べ始め乱闘になり、 さらに子どもも加わり、 それを止めようとした大人たちも加わり、 大乱闘スマッシュブラザーズさながらの バトルロワイヤルが繰り広げられ、 それをおばさんは静かに見ていた。 3. おばさんが行き着いたのは 近くのスーパーで 猫をも巻き込んだパフォーマンスは 夕方開催の安売りの目玉 マグロの解体ショーの コマーシャルだった。 大人たちの幾人かは 切りたてのマグロを買って 家に帰った。 4. 突然おばさんが100倍に膨れ上がり ファンファーレと共に 「マグロの勝ちー!」と叫ぶと 風船のように破裂し その瞬間、世界から全ての猫が消え去った。 5. あなたの頭の中の あなたの結末。 お好きなのを選んでください。 録音メモ iPhone直 nanaのパン機能で重ねると 声のボリュームとパンの位置 エコーの質が統一しにくい 7レイヤー
