
【体験談】わたしの後輩の話①
書き手:Rion
私は聞き専で歌うことが得意じゃないけど、心のざわざわを形にしたくて。素敵なBGMをお借りして、文章を書こうと思います。 これは、私が高校3年生だった時の話。 私は吹奏楽部の副部長をしててさ、4月に後輩が入部してきたんだ。その子は145cmくらいのすごくちっちゃい女の子で、サックス志望で…だけどなんかキリッとした顔立ち&立ち姿の子でさ、演奏してる姿がとてもカッコよかった。 でも、それはわたしたちの高校にとって、最後の後輩。 私の通ってた高校、廃校になることが決まってたんだ。 私はホルンっていう金管楽器で彼女のサックスは木管楽器だから、本来ならあまり関わりはないんだけどさ。なにせ最後の1年生、1学年の生徒数も少なくて。吹奏楽部の人数もすごく少なくなっちゃったの。 だから部活の人数が減った関係で、違うパートなのに一緒に練習することが増えてさ。彼女、ムスッとしてて不機嫌そうなことが多い子で。なんかイライラしてるのかなあって思ってたら、ふとした拍子に見せる笑顔がニコニコしててさ。すごく可愛い子だった。 わたしたちの吹奏楽部は異常な程に仲が良くて、21時まで自主練習したり、練習後も深夜近くまで公園でしゃべってたり。夏休みはみんなで集まって楽器の練習して、練習後は公園で花火したりおしゃべりして、オールしたこともあったりさ。 中には音楽準備室で花火をしたバカもいてさ。翌日、みんな揃ってこっぴどく叱られたっけ笑 とにかく、毎日が楽しかった。 だけど、文化祭が近づいた9月の初旬。 私は彼女のこと後輩として好きだったし、彼女も私のことを慕ってくれてたように思う。だから自然とたくさん話すようになっていたんだ。でも… あ… 距離を置かれてる… ある日を境に、そう感じることが増えたんだ。 なんでなのか分からなかった。 突然、会話のない日々が訪れた。 それで…文化祭の当日のこと。 今思い返せば、これから演奏会があるって言うそんな日に、行動すべきではなかったと反省してる。 その後輩がさ、ひとり寂しそうに、校舎の隅っこの、外に出る扉のとこに座ってたんだ。 私は…思い切って近づいて、聞いてみたの。 最近あまり話せてないね…もし気に触ることを言ったとしたらごめん…って。 そしたら、彼女は…ゆっくり話してくれたの。 彼女は、Ftm(女性として生まれたけど心は男性)で。 だから先輩…勘違いしてしまうようなこと、やめて欲しいって。 それと… お家が、あまり社会的によく思われないような仕事をしてて。 それがだんだん負い目になってきて、「ふつう」に生活してるみんなの輪の中に入りづらくなったんだって。 私は…ちゃんと頭が回らなくて。 ただの高校三年生だった私は、彼女の悩みに、心の声に、上手く向き合って答えてあげられなかった… その後、文化祭が始まって。さっきの会話の気まずさを感じながらも、私たちは学校の中庭で演奏会をしてさ。 そしてその日を境に、彼女とは表面的な会話しかしなくなった。 私がOGとして吹奏楽部に指導に行っていた間も、その後の後輩の卒業の時まで、ずっと。 (つづく) BGM/DAYS of DASH piano #さくら荘のペットな彼女 #鈴木このみ #BGM #nana民と繋がりたい #モノローグ #雑談 #piano #Rionの体験談
