たむ

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見知らぬ土地に行く時に感じる 探究心や冒険心よりも 胸のざわつきが勝(まさ)ってしまう私が この電車に乗っているのは その先に会いたい人が居るから。 見知らぬ駅を通り過ぎていくのを 横目で見ながらふと思う。 今まさに、同じ方角に向かう人々の 日常に触れているような。 そんな不思議な感覚に陥る。 毎朝同じ電車に乗って 毎日同じ場所へと向かうのだろうか。 朝の気だるさの中に立つと 体がふわりと浮かぶような気がした。 私だけが知らない場所へと向かう。 もしかしたらこの電車のどこかに 同じように知らぬ土地に向かう 誰かがいるかもしれない。 その人もこんな気持ちなのだろうか。 不安と期待が交差する。 早く目的地に着いたらいいのに。 車窓から見えたのは1羽のカラス。 そうだ、私も日常の中にいるのだ。