
episode.5 Lustgame
箱庭ノ遊戯
パチパチパチパチ…… 一人の拍手の音が響き渡り目を覚ます。 いつも通り中央の部屋に戻された…わけではなく、そこは真っ白な空間だった。 いや、正確にはあの部屋を白く塗りつぶした部屋だ。 「やぁ君達。ここまでお疲れ様~」 そんな腑抜けた声はいままでホログラム越しに聞いていた声だった。 「えっ…」 声の方向を見れば黒いローブはいない。 そこにいたのは白いシャツに黒いロングカーディガンを来た黒髪緑目の青年。 「誰だ…?」 「んじゃあ改めて。僕がマスター。…ちょっと上司に怒られていろいろ押し付けられてる自称とっっても可哀想な神様。 さてと〜君達には最大の問題を解決してほしいんだよねぇ」 「最大の問題…?」 「なにするの?」 「…とある相手を倒してほしい」 「とある…相手?」 「そ。…ここにいないから、連れてってあげるよ」 ニコリ、と笑みを深める彼。 それと同時にシャンッと鈴の音が響く。 『マスター!準備できたよー!!』 「お、琥珀ナイスタイミング~んじゃあよろしく。」 『任せてマスター!…それじゃあ、みなさんをマスターのペットの元へご招待しまぁぁす!!』 琥珀がそう言った途端、辺りが眩しくなり思わず目を閉じた。 光が薄まり目を開ければそこは沼地。 湿っぽい空気が纏わり付く。 「…ペット?」 琥珀の先程の発言に首を傾げる。 「そうペット。……ちょっと凶暴化しちゃってさ~僕じゃどうしようもないんだよね~…だから、倒して?」 のんびりとした口調でコテリと小首を傾げる彼に少し苛立ちを覚える。 「自分でやればいいじゃないですか」 「いやぁ僕じゃ無理だったんだよねぇ」 「なんで〜?」 「だって僕、倒す力持ってないしぃ?…ペットって言ってもいつの間にかここにいて、懐いたと思ったらいつの間にか凶暴化してるような子だよ?」 怖いよねぇと笑う彼。 「あぁ、倒す方法は簡単。君達の歌で相手を弱体化させて僕の『本名』を言えばいい。」 「本名…?」 「マスターってあだななの?」 「そ、本名。マスターって呼んでくるの…琥珀くらいじゃない?」 『マスターまだぁ?』 いつの間にかマスターの足元にいた琥珀に驚く。 「いまからするよ~」 しゃがんで愛犬を相手にするかのようにわしゃわしゃと頭を撫でている彼に少しだけ呆れた。 「んじゃあ…がんばってね?」 そう言われ彼が指を鳴らした途端、少しだけ空気が変わり、先程より湿っぽい空気が更に湿っていた。 『Gra…Graaaaaaaaaaaaa!!!』 そんな咆哮が聞こえ振り向けば9本の首が生えた化物がいた。 「えっちょ、これ」 「ヒドラ?」 「っぼいねぇ…」 「どうするのっ紙もらってないよ?」 「そういえば…」 『ちょっマスター!?』 シャンッと場違いな鈴の音が響き真っ白な狐が姿を現す。 そして9本の首の化物を見て固まる。 『…マスターの……マスターの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』 我を取り戻したかと思えば泣くように叫び2枚の少し大きめな紙を2枚、投げ捨てていった。 ─ ✄ ─── キ リ ト リ ─── ✄ ─ episode.5 歌の提出と『マスター』の名の提出。 紙の指示に従い、提出をお願いします。 3日に一度のコミュニティへの顔出しをお願いします。
