
第3話「異端」
Lost Garden
▹Main Story 03 「412 Precondition Failed」 前話 「天使」 https://nana-music.com/sounds/05cf5d7e 鬱蒼とツタが巻き付く廃墟をGerberaは軽やかに歩く。 この場にあまりにも不相応な彼女はなにかに気付いたように足を止め、駆け寄った。 「あなた、とってもとっても美人だわ!」 先ほど立ち去ったAzisaiだ。珍しく今日は男を連れていない。 Gerberaを怪訝な目で認めたのち、こちらをギロリと睨む。 その顔に"なんなのこの女"と浮かんでいようとLoberiaは無視を決め込んだ。 そんなこと自分が知りたい。 ⍋. 🌸「お姉さん、お名前は?」 🎠「…Azisai」 🌸「ふふ、お名前も素敵。私はGerbera!よろしくねAzisaiさん」 まさに花が咲いたような笑顔を浮かべる少女から思わず距離を取る。 出会って数秒でAzisaiはGerberaのことが苦手になったようだ。 そりゃそうだ、こんなところにいるやつらがこんな女を受け入れられるわけがない。 ☠「ふふ、♪~♪~おうじさま、きょうはどこにいきますか」 🌸「あのお姉さんは?」 🎭「Anemoneだ」 かわりに答えたのはLobelia。ご機嫌で王子様と散歩をしているAnemoneに彼女の声は聞こえていないだろう。 どこから手に入れたのか白いバラを手にゆらりゆらりと左右に揺れている。 🌸「Anemoneさん!こんにちは!」 ☠「…?こん、にちは、いい天気。ふふ…お日様があたたかいわね」 🌸「ええ!お姉さんは誰とお話ししているの?」 ☠「わたしの、おうじさま」 🌸「??えっと…」 🎠「ちょっとLobelia、この子連れてるってことは案内でもしてるんでしょ。はやく連れて行きなさいよ」 🎭「おいGerbela、こっちだ早く来い」 🌸「あ、お待ちになって!それではごきげんようAzisaiさん、Anemoneさん!」 Loberiaの後ろを弾むように歩いてくる少女はふたりはとっても美人だわ!可愛いわ!と少し興奮気味に話す。 けれど。 🌸「お二人とも素敵だけど、なんだか…可哀そうに見えるの」 思わず出そうになった舌打ちを飲み込み、くるりとLoberiaは振り返り微笑んだ。 🎭「ほら、ついたぞ」 女神のような笑みを浮かべる彼女の後ろには、ぽっかりと化け物が口を開けたような。 どこまでも虚ろで底の見えない大きな穴があった。光をまるで通さないそこは、きっととてつもなく深いのだろう。 ▽ 様子のおかしかったLoberiaが気になってこっそり後ろをつけてきていたYuriは、その穴に言い知れぬ恐怖を覚えていた。 "あれ"はきっと終わりのための穴だと。そう脳内で警鐘が鳴り響く。 もしかしたら今まで突然いなくなった住人たちはもしかしたらここに。 ざり。足元で砂利を踏みつけた音が響く。 長い三つ編みを振り彼女、Gerberaが振り返る。 明らかに異質な場所に連れてこられたというのに、その顔は先程みた脳天気な表情を浮かべたままだ。 なんなんだこの女は。 『____!』 また頭に走るノイズ。黒いセーラー服を着た少女がボクを呼んで笑っている。 誰だ、誰だよ。お前は誰だ。 ズキズキと痛む頭に思わずその場に座り込む。 「Yuri、ちゃん?どうなさったの?」かけられるその声もやけに聞き馴染みがある。 嗚呼… 誰よりも何よりも、会いたくなかったのに。 Twitter: https://mobile.twitter.com/LostGarden_nana HP: https://chuo76co54.wixsite.com/lostgarden お借りしたもの BGM: https://maoudamashii.jokersounds.com SE: https://taira-komori.jpn.org/index.html #Lost_garden
