【二人用声劇台本】『猶予う前にこいにおちる』
台本.くらげ/BGM.まあ さん/○役./●役.
【二人用声劇台本】『猶予う前にこいにおちる』
- 212
- 12
- 0
#くらげの台本 #秋模様台本
【前書き】
みかん さん主催の秋模様台本企画に参加してきました。
割り当てられたテーマに沿って自分なりに秋を描くこの企画。はてさて、くらげは「十五夜」を如何に調理したのか。
まあ さんの素敵な演奏ーーthe pillows「ストレンジカメレオン」ーーをBGMに、最後までお目通しいただければ此れ幸い。
【秋模様台本企画ページ】
https://nana-music.com/sounds/05066bf1
【注意書き】
利用する際は関係者各位のキャプションに目を通し、利用規約が載っているようであればそれに従いましょう。親切で提供してくだすってるものに自らコラボしにいくからには、親切で返すのは当たり前の事かと。
この台本については特にないです。
【役説明】
○…女性。
●…男性。
◉…2人で。
【以下台本】
○
カラダに触れたい、懐を痛めず着飾りたい。俗に言う不純な動機でくっついた、二人の群に伺いたい。
その目に私たちはどう映りますか?と
●
流石は十五夜、眩しいぐらいだ。他に明かりもないのに君の顔がはっきりとーーどうして。
どうして未練があるように見えるんだ!?あの夜、ここで出会ってからずっと行動を共にしてきた、でも生に執着するきっかけなんて無かったはずだ!だよな?
○
ーーあの夜、私たちは飛び降りスポットで出会った。
苦しみ抜いた人生、その最後くらいは。ここで“する”かはあの人が落ちてから(即死したか確認してから)決めようなどと、思い巡らす凍てついた心を溶かしたのは「怖い……!」弱音と共にアナタが零した涙。
“酷い”人。もう、とても飛ぶ気にはなれないわ。
だから仕返ししてやるの。嫌い嫌い、大嫌いな嘘をついてでも。「一人じゃ駄目なら二人で。それも、自然と気が大きくなる、とびっきりの満月の夜に」ーー
ーーええ、ありませんでした。豪華な服に着られても、それを破り捨てて気絶するまで交合(まぐわ)っても・何とも。だからッ……ハァ。だから、ふと頭をよぎったコレもまた些末事(さまつじ)。そう心配なさらないで?独りにはしませんから
●
あぁ、アハ!よかったあ……!それじゃ
◉
『猶予う(いざよう)前にこいにおちる』
○
も、聴こえてませ、よね?なら、こくは……くぅ、うう
【以上台本】
【解説】
飛び降りスポットで出会った男が飛び降り、ひいては死に恐怖する様を見て、女も同様に死を恐れるようになった。その為、飛び降りることができなくなり、その原因となった男を酷い人と称して復讐を誓った。というのは建前で、図らずも自死を止めてくれた言わば命の恩人に、生きる希望を与えられたらというのが本音。
なかなか死ねない者同士、協力しようと彼に取り入ったまではよかったのだがーー男はこの女(ヒト)と共に死にたい、女はこの男(ヒト)と共に在りたいという食い違った共依存関係を築いてしまった。
結果、協力関係を結ぶ際、尤もらしい理由で定めていた期日、「とびっきりの満月の夜」すなわち十五夜に女の願いは虚しくも大地のシミとなったのだ。
悲しいことに、男の「生に執着するきっかけなんてなかった」との台詞から、女は一切好意を持たれていなかったと勘違いしたまま。(好意を向けられていたからこそ彼を死から遠ざけられなかったのだが)
二人が故意に落ちるのではなく、愛に溺れるでもなく、恋に落ちていたならば。
コメント
まだコメントがありません