nana

【声劇台本】歪な鳥【朗読】
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Miecoさんのステキピアノ、希鳳さんのステキ台本にのせて。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  その鳥は片翼(かたよく)が無かった。  大空を自由に飛ぶことも、風を感じ、優雅(ゆうが)に舞うこともできぬその鳥は、歪で、しかし、美しかった。  贋作(がんさく)。自らをそう呼ぶその鳥は、己の無力を知っていた。  願っても願っても、届かぬモノ。  走っても走っても、追いつけぬモノ。  どれほど熱く焦(こ)がれても、辿り着けない輝きを、その鳥は知っていた。  どこまでも、無知で。  どこまでも、醜悪(しゅうあく)で。  どこまでも、歪でありながら、無力を悟(さと)った鳥は、羽ばたくことを辞めた。  両方翼があったなら。  飛び立つ力があったなら。  どこまでも高く舞い上がることができたのに。  飛べぬ鳥。  歩くことしか、知らぬ鳥。  しかし、だからこそ。歩みを止めぬからこそ。  その片翼は、美しかった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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