雨虎

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「おい、娘。そこで何をしておる。」 『…どなたですか？』 「私の家の前で死ぬなど、私が許さぬぞ。」 『何故、分かるのです？』 「さあな？」 『…死ぬつもりなど毛頭ありませぬよ。ただこうして立っていただけに御座います。』 「嘘を付くな。お前の考えは私に手に取る様に分かるでな。お前の目が、…見えない事も。」 『…！(息を呑む音)』 ｢そして、そのせいで親にも捨てられ酷い人生を送ってきた事も。全てな。｣ 『…貴方様は一体何なのですか？』 ｢"覚"(さとり)といえば分かるか？｣ 『聞いた事があります。確か人の心を見透かす妖とか…。』 「では、その妖が頼もう。……死ぬな。私は人より物がよく見える。だからお前の目となってやろう。」 『貴方様が…私の目に？』 「嗚呼。そして、沢山の美しい物を見、聞き、感じて行こうでは無いか、私とともに。」 『…それは何故ですか？(震える様に)』 「何。簡単な事さ。目が見えなくとも澄んだ心を持ったお前に惚れた。それだけだ。」 『ありがとう…御座いますっ、…貴方様…っ。(涙を堪える様に)』 #声劇台本 #声劇 #和風声劇台本 #恋愛 #切ない #和風 #コラボ募集