nana

同田貫正国
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刀とはいえ肉を持った、人の形をした者達だ。もしそのままの、真剣の姿であろうと、日記を勝手に読むのには抵抗がある。ましてや同じ場所に生活していた家族のものなど。 音もなく何者かが部屋に入り込む。一瞬驚いたが、姿も瞳も同田貫のそれだ。私の安心に、対する彼は、随分と焦っているようだった。 彼は急に私の腕を掴む。 一瞬身体が浮いたかと思えば、担がれていた。時間が惜しい、なりふり構っていられない、と言いたげだった。 私はそれにされるがままに、日記を何冊か持ちながら同田貫に背負われていく。 一瞬だけ、彼が焦っている理由がわかった。いや、今の状況を考えれば、簡単に結末まで辿り着くのだが。単純に考えて、あの場所が安全ではなくなったということだ。 そして、同田貫がこうやって、音を立てないようにとはいえ走り続けているのには理由がある。 追われている。 私は邪魔者という点でいえば、今現在最高に丁度良い状態なのだ。応戦をしないのではない。私が荷物になり出来ないのだ。 なんと厄介なことか。私が死ぬと肉体を保てなくなるとはいえ、私自身が枷になってしまっている。 追ってくる者の姿が見えた。 一瞬だが分かりやすかった。あの走りには見覚えがある。 ──御手杵だ。全力で床を蹴っている。瞳は赤く輝き、尾を引く。煌めきは流星のように。 → https://nana-music.com/sounds/0448c740/

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