
同田貫正国
廊下に出たその時だ。 「…………っ!」 ほんの少し、それこそ人には聞こえなさそうなほどの小さな声が漏れた。気配を感じ取れなかった以上、これを回避することは出来なかったのかもしれない。 目の前には、確かに刀剣がいる。顔に大きな傷を刻んだ黒色。傍らには、首を……。 殺される。 殺される。 殺気を感じないことが、最も恐ろしい。彼は感情を持っていない、何かの操り人形のようにされている……! 「……」 いや、いいや。 その黒い刀は、自分の口元に人差し指を当てた後、二本の指で自分の目の辺りを指差した。 金色の瞳だ。 彼は「アカメ」じゃない。 こっちへ来い、とその刀は手振りで行動を促す。私にとって、どれだけそれが頼もしく、また緊張感に溢れていただろう。静かに歩を進める私は、安堵と不安の矛盾する感覚で心を満たす。そのせいで少しの間、殺気や気配などの感覚を忘れてしまった。 恐怖し、麻痺し、そして見つけた、見つかった、まだまともな刀剣男士。 打刀、同田貫正国。 → https://nana-music.com/sounds/0448c41d/
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