
三日月宗近
対峙する刃
「私は、逃げない。お願い三日月、一緒に戦って…!」 キッと小狐丸を睨みつけ、三日月に駆け寄る。彼の背中の傷に掌を当てて力を込めれば、淡い光と共に傷が塞がっていく。私だって審神者だ。手入れ道具がなくたって、この位は出来る。 「あい、分かった。…という訳だ、小狐よ。俺達は先へ行かせてもらうぞ。」 「……分かりました。では、私は、その四肢を引きちぎってでもお二人をお止め致しましょう。」 互いが互いに切っ先を向ける。一瞬の油断も許されぬ緊張、お互いに出方を探り合う静寂を打ち破ったのは小狐丸だった。猛烈な殺気を纏い、三日月の頭を切り落とさんと飛びかかってくる、刹那、三日月の刃が小狐丸の胴を凪ぐ。 「ぐっ……!」 三日月が壁になって見えないが、小狐丸の呻き声が聞こえてくる。 「…宗近、さま……ぬし、さまを…どこへ連れて行こうと……言うの、ですか…」 「……そう、さな。主を守れる場所に。」 「……、…なんと、業の深いお方よ…ああ、ぬし、さま…こぎつねは、ずっと、ぬしさまを…………」 再び静寂が訪れた。暫く黙って小狐丸を見下ろしていた三日月の、刀を鞘に戻し鍔が鳴る音で我に返る。 「…主よ、これからどうする。」 「どうするって……」 小さな扉を見る。この先に何があるのか、ここは本当に出口なのか、何一つ分からない。でも、扉の先は開いてみないと分からない。 決意をし、三日月を見つめ、口を開く。 「三日月、逃げよう。」 → https://nana-music.com/sounds/043d80ca/ 「三日月、行こう。」 → https://nana-music.com/sounds/043d8119/
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