
明石国行 Nomal End
「それで?ヘタレ眼鏡はそのまま今に至ると?」 「どこで覚えてきたんその言葉」 元に戻った本丸内。 既に事件から数日が経っていた。 あの後、政府からの浄化作業が入り、無事に皆正気に戻ったのだ。 今剣も大泣きしながらきちんと謝り、他の刀も「もしかしたら自分がその立場だったかもしれないから気にするな」と受け入れることで 事件は丸くおさまった。 彼の文系名刀は、瘴気によって廃れた庭に悲鳴をあげていたが。 「そうだよ国行、せっかくのチャンスだったのに。」 「ったく、これだからドーテーは!」 「返す言葉も…ちょいまち、なあ国俊!ほんま自分それ誰に吹き込まれたん!?」 「加州が言ってたー!」と笑う国俊と、「あーあ、せっかく二人がくっつくと思ってたのになあ」と頬を膨らませる蛍丸。 戻ってきた日常に喜べばいいのか、この現状を嘆けばいいのか、明石は頭を抱えながら重い息を吐いた。 「あ、主さんだ!」 「ほんとだ。あるじ〜〜っ。」 短刀達と遊んできていたのか、少し疲れた表情の審神者がとてとてとこちらへ歩いてきた。 正直その歩き方さえとても可愛らしいし、堂々と隣に立って歩けたら、だなんても思う。 そんなことを考えていたのがバレたのか、横の二人から冷ややかな目線とともに「むっつり…」と言われてしまった。泣いていい? 「明石に蛍丸に愛染〜!来派勢揃いだね!」 「主さんと国行のおかげだぜ?俺達がこうやってまた話せてんのも!」 「そうそう、ね?国行?」 「へっ?」 突然ふられた会話に、とりあえず頷きを返す。 ちらりと蛍丸をみると、口パクで「早く言っちゃいなよ」と言われた。 もう少し待ってもらえないだろうか。 「あ、ああ。主はんほんま……なんちゅうか……その……」 「う、うん!?」 なにかな!?となぜかガチガチに緊張している主に思わず赤面する。 言え、言うんだ、言え、言え! 「あの……主はん……実は、自分……」 「は、はい!!」 「あ………す、……す…………す、すき焼きが食べたいなあ!って!思うてますねん!今日の夕餉!!」 「へっ、ぁっ!はい!しょ、燭台切に伝えておきますね!」 じゃ!とかけていった主の背中を見送り、動きの悪いブリキのように後ろへと首を回す。 「くぅ〜〜にぃ〜〜ゆぅ〜〜きぃ〜〜?」 目をすわらせて確実に苛立っている二人とばっちり目が合ってしまった。 「せ、せやかて……しゃーないやん……あんな可愛ええ生き物に何を言えと……」 「っかぁ〜〜!これだからドーテーは!」 「ほんとほんと、これだらドーテーは。」 「自分ら、その言葉の意味絶対分かってへんやろ。やめたって、わりとまじで傷つくわ。」 もう少し、もう少しだけ勇気が出たら 彼女にもきちんと伝えることが出来るのだろうか。 せめて、あの時の自分が怪我さえしていなければ……。 「びっくりした〜…!改まって言うから…き、期待しちゃったよ…!明石のばか!ばかったらばか!」 * Normal End * continued? → https://nana-music.com/sounds/040bbbfa/
