
明石国行
「う、そ……」 「言うたやん。100%やって。」 辿り着いたゲートは、先程のような黒い靄は一切見当たらず、この異空間と化した本丸内で異常なほどいつも通り動いていた。 そのまま流れるようにゲート内へ飛び込み政府へと転送してもらった。 「と、とりあえず!事情を説明しないと!そ、それから、今剣を治してもらって、えっと、えっと」 「主はん。」 自分を落ち着かせるために、やらなければいけないことを一つ一つ指折って数えていると、ぽんと頭の上に手がのせられた。 「あ、明石?」 「ほんま、ようがんばったな。怖かったやろうに。」 えらいえらいと撫でられるじんわりとした温かさに目の前が滲む。 「っ、ひぐっ……ぅっ……」 「泣いてええんやで、いっぱい我慢したもんな?」 「ぐすっ…っあああああん!!!」 思いきり目の前の体に抱きついて、みっともなく大声で泣いた。 怖かった、死んじゃうかと思った、でもみんながいなくなっちゃうのはもっと嫌で、何より怖かったのは…… 「っ!あ”か”し”!!お”、折れちゃう”か”と思った”!!!!!うあああああん!!!!」 「おーおー、えらいすんまへん。でも自分、ここにおるで?な?」 「う”ん”!!!い”る!!!」 さらにぎゅっと抱きつけば、「あだだだだ!!」と痛がられてしまった。そっか、失念していたが彼も重傷だ! 「ご、ごめん明石!手当してもらわなきゃ!私、事情説明してくるから、明石は今剣と一緒に手入れしてもらって!じゃあ!」 これ以上いると変なことを口走ってしまいそうだと、自覚したばかりの気持ちに蓋をする。 いつか、いつか言えたらいい。 そうしてその場を走り去った。 彼も同じ気持ちであることを知らずに。 → https://nana-music.com/sounds/043af7f7/
