nana

明石国行
6
0
コメント数0
0

─────かに思えた。 「っまだや!!!」 「なにッ!?」 仰向けの状態から明石が跳ね起き、自分の上に乗っていた今剣を勢いよく組み敷く。 「形勢……ッ…逆転、やな………」 「はなせッ!!はな、せッ!!!」 「大人しくせえ……こっちやって過重労働で死にそうなんやから……」 「くそっ!ころしてやる!ころしてやる!!」 暴れ回る今剣から、ぶんぶんと振り回す刀を力尽くで奪い取った明石は、しばらく思案した顔のあと、私のいる方へと投げた。 小さな刀に黒いモヤがまとわりついていて、見ているだけで気分が悪くなってしまう。 「アウトなぐらい穢れが溜まっとる。あんま触らんのが身のためやで。」 明石もそう告げる。 けれど、どうしてだろう。この刀を抱きしめなければいけないような気がして、そっとそれを手に持った。 途端、ビクリと明石の下に寝転がっている今剣が震えだした。 「や、やだ、あるじさま、おらないで、おらないで!!!」 「今剣……?」 「すて、ないで…!すてないで…!!おねがい……やだ……あるじさま……!!」 ぽろぽろと泣き出す今剣。 それをみた瞬間、頭の中で先程の今剣の言葉が脳裏を過ぎり、カチリと全てのピースが繋がった。 「そっか……今剣、本当は寂しかっただけなんだね?」 「あ……あ……だ、だって……ぼくは…ほかのかたなのようにおおきくないし……それに、ぼくは…ぐすっ……れあどというものが、っひくいから…ぅッ…いつかすて、すてられちゃうだろうって……!」 「今剣………!」 うわああんと大声で泣きわめく今剣を、穢れてしまった刀ごと強く抱きしめる。 初めて聞いた今剣の弱音。その小さな体で、一体どれほどの苦しみを抱えてきたのだろう。 気づいてあげられなかった自分を酷く殴りたくなった。 「そんなことない…そんなことないんだよ今剣、いつだって頼りにしてるし……大切な仲間じゃない……」 「うぐっ……あるじさま……」 「私は今剣のこと、大好きだよ。今も、これからも、ずっとずっと。」 「ぅっ…あるじさま……ぼくも……あるじさまのこと………ッあああああああああ!!!」 優しく、そんな嫌な思いなんて忘れられるように 子供をあやすような手つきでぽんぽん、と背を叩けば、たくさんの涙と共に小さな体からどぷりと瘴気が抜け出てきた。 「これは……!?」 「おーおーえらいこっちゃ、今剣担いで逃げるで主はん。」 「えっ、ど、どういう!?」 「今剣の中から親玉の瘴気が抜けたせいで、周りのヤツらの中に入っとる瘴気が反応しよってん。ぎょうさん敵がここにあつまってきよるんやわ。」 ひとまずゲートまで走る、と明石が左肩に今剣、もう片方に私を担いで……私?! 「ちょ!おろして!!おろして明石!!」 「アホか!何言うてんねん!いっちゃん足遅いやつが偉そうに駄々こねんなや!」 「は!?ちゃ、ちゃんと走れるし!!」 「嘘つけ!それより!主はんはやらなんことがあるやろ!」 やらなきゃいけない事?と考え出す私へ、明石が呆れたようなため息をついた。 「ゲート、瘴気のせいで動かへんやろ。」 「……あ!」 → https://nana-music.com/sounds/043af768/

partnerパートナー広告
UTAO
0コメント
ロード中