nana

明石国行
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「ッ!!」 刹那、凄まじいスピードで明石に肉薄した今剣が 明石の頬に一筋の赤い線を作った。 「さがりや!!!」 「きゃっ!!」 突然首根っこをつかまれ、部屋の奥へと投げられる。その間も今剣は容赦ない攻撃を繰り返していた。 ──強い。さすがはこの本丸で初日から第一部隊だっただけのことはある。 「ぐっ…!!」 「明石!!早く抜刀を!!」 「……」 「明石?!なにやってるの!?早く!!」 攻撃を繰り返す今剣と、それを避け続けるだけの明石。しかも刀を抜いてさえいない。 なにを躊躇っているのかと声を荒らげても、まるでその気配を感じさせない。 「明石……?」 「ぬかないんじゃなくて、ぬけないんです。ねえ、あかし?」 「……バレとったんかいな」 目の前の会話に理解が追いつかない。 どういうことかと二人を交互に見つめると、今剣が攻撃の手を休めてわらった。 「じんじょうじゃないほどのちのにおいがしますよ、あかし。」 「血の匂い…!!?」 「あるじさまがかわいそうではありませんか。いいかげんそのうすいれいりょくのまくをけしたらどうです?」 「……まあ、ここまできたらしゃーないわな。」 パリン…と、薄い硝子が砕け散るような音と共に 鼻を刺すような錆びた匂いが充満した。 みれば、先程までなんともなかった身体が深紅に染まり、重症手前…もしくは既になっているかのような怪我をした明石がいた。 「そんな……だって、さっきまでなんとも……!どうして……!!」 「……最初、蛍と国俊が襲われかけて庇ったんすわ。その時にぐっさぐっさと。ああ、そんな顔せんでも、二人とも今は最初の部屋で刀に戻って休んではりますよ。」 「ちがう……ちがうの…!どうして言ってくれなかったの!?そんなに酷い怪我してたのに!!」 情けない、気づいてあげられなかった自分も 今こうやってそれをぶつけている自分も。 でも、仕方がないじゃないか。自分よりも酷い怪我をした人間にずっとずっと頼っていたのだから。 仕方が、ないじゃないか。 「すまん主はん。せやけど、どないしても心配かけたくなかったんや。」 「言ってくれなかった分、今めちゃめちゃ心配してる…!」 「すまんて。」 困った顔で笑う明石に、全部の感情を持っていかれた。こんなにも頼ってしまって、ここまで足を引っ張ってしまって、ごめん。ありがとう。 そういうごちゃごちゃした気持ちを汲み取ってくれたのだろう。困り顔からいつものやる気のないしたり顔に切り替わった。 「全部まとめて、あとで蹴りつけるんで。」 「おはなしはすみましたか?」 もう一度今剣が攻撃を仕掛ける。 ガキン! 今度は火花と、刃がぶつかり合う音を響かせて → https://nana-music.com/sounds/043af6ee/

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