
今剣 True End
望まれなかった結末
ずるい、ずるい、とひたすら泣く子供を抱きしめる。 頭を優しく撫でてあやしながらも、私は。 彼の生きている心音を聞き続けた。 あの夜、私の家族は全員死んだ。私は助けられなかった。それは、まぎれもない事実だった。 炎に突き飛ばした彼の絶望した表情を思い出す。彼に押しつけるように与えたお守りは、彼を無事に守ってくれたらしい。 しかし、もし復活しなければ? 私はみんなみんな、最後の家族である今剣まで失うことになっていた。私は、彼を殺す気で炎へ突き飛ばしたのだ。 自分にそんな勇気が、度胸があったことには驚いた。 それでも私は彼と、今剣と、そしてみんなといたかった。欲張りになると決めたのだ。 だからこそ、この選択を、大きな賭けをした。 それは許されないこと? 永遠に寂しくないでいられることを望んだ今剣と、私は同じなのだろうか。許されて良いことなのだろうか。 それでも、本丸は綺麗だ。 青い葉がそよそよと揺れ、生命が芽吹いている。 その全てが赤に掻き消されたあの夜のことを。隠された夜の秘密を。 忘れてはならない自らの罪を、きっと自分はこの子とともに一生背負っていくのだろう。 そう感じていた。 「今剣、宴会に行こう。みんなが待ってるよ」 生まれ変わった彼らは、彼らでないのか。 私は、望まれなかった選択をしたのか。 死ななかった私はあの夜、 ほかの刀剣のように自らの瘴気を消しきれたのだろうか。 生まれ変わった本丸に取り残された私達はそれでも、あるはずの絆に縋るしかない。 生きている。 それなら、いいではないか。 鼻声を啜っていた今剣は確かに。 私の言葉に小さく頷いたのだった。 * True End * Thank you for playing! → https://nana-music.com/sounds/0449651f/
