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今剣
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「みんな、もう大丈夫なの?」 「大丈夫だぜ、皆。コレをみんなに主さんが持たせてくれたおかげで!」 後藤藤四郎をはじめ、彼らはそれぞれ、焦げたお守りを見せた。 「政府の人曰く、本丸にも僕らにも瘴気はもう全く見られないそうです。本当に良かったですね」 宗三は、ゆったりと頷いた。口々に、刀剣達は「良かった」と口にする。全て元通り。雨降って地固まる。綺麗なものだ。 「…今剣は?」 「あいつは…瘴気は大丈夫なんだが、やっぱり自分が原因なことを気にしているみたいで…。そっとしておいてるところだよ。せっかくの主の帰還に、顔も出せていないけど、許して欲しいな」 蜂須賀の言葉に、私は気にしていないと口にする。 「でも、せっかくだから、私も顔を見に行くね」 「そうしてあげてよ、帰還のお祝いの準備してるから、もしよかったら、今剣も連れてきてちょうだいね!」 次郎太刀は盛大に笑って、私の背中を叩いた。その勢いによろめきながらも歩き出そうとする。と、裾を引っ張られるのを感じた。小夜だ。 「あなたは…」 何か言いかけた小夜左文字が、やがて、言うのが憚られるように、口を噤んだ。最後が最後なだけに、彼には何か言わなければならないかもしれない。 「大丈夫だよ。後で今剣と来るから」 そうにっこり笑って、私は小夜に背を向け、今剣の元に歩き出す。 私は確かに、本丸へ帰ってこれた。 非常時に、刀剣全員にお守りを付けることで助けることができるのではという私の淡い考えは、賭けであった。 今剣に会う前に急いで刀剣にお守りを括り付け、彼に隠していたのだ。期待通り奇跡的に、今剣にもバレず、お守りは効能を発揮して、彼らは瘴気もろとも破壊された後にふたたび復活することができたらしい。 奇跡は、起こった。 私の背後には、楽しそうなみんなの、生きている声。 私は、彼らと再び生きる結末を勝ち取ったのだ。 → https://nana-music.com/sounds/0438ea62/

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