
明石国行
一つの戦いをクリアしたことで、重要なことが二つ分かった。 簡潔に言うと以下の通りだ。 ・おかしくなっている刀剣男士の瞳は真っ赤になっていること ・戦って倒せば元に戻ること(元にもどってからずっとなんともないのかは不明) 「つまり、目が真っ赤っかになっとるやつら見かけたら逃げればええっちゅーことやな?」 「うん、そういうことになると思う…。なおしたいのは山々なんだけど、私は霊力が一般人と大差ないし…。」 「自分も余計に動くんは絶対嫌や」 ですよねえ、と苦笑いしながら打開策を考える。 廊下を慎重に歩きつつ、元凶を探る。 明石と合流した時にはすっからかんだった霊力も回復してきている。とはいっても一般人並しかないのだが。 「なんとかして早く見つけないと…」 そう言って前を向いた瞬間、一筋の光が私の横を横断していった。 「えっ、なにこれ!?」 「ああ、なるほど…」 「なるほどって何!?こ、これも攻撃!?」 光の射す方へと歩き出す明石に、不安げな声をかけると、心配するなと返答がくる。 「さっき、正気に戻ったアイツが主はんに自分の加護付けたんですわ。ある意味これは疑似神託って感じやな。」 「疑似信託……?」 「とりま、こっちに進んでいけばええでってやつや。主はん達の世界でいうカーナビっすわ」 「どこで覚えてきたのその言葉!?」 いや〜便利やわあと笑う明石の後ろをついて行きつつ、はっと慌てて問いかける。 「で、でも!こんなに光ってたら敵にもみえちゃうんじゃあ……?」 「アホやなあ主はんは、一応アイツかてカミサマやで?そんなん見えへんようにするぐらいできるわ。」 「あっ、そっか…!」 言われてみれば確かに、彼らは長い時代を生きてきた付喪神だ。途端に目の前の背中がとてつもなく頼もしいものに見えてきた。 いや、前からなんだかんだで頼りがいはあった。 いつも私が困っていたら助けてくれて、優しくて、かっこよくて…… 「かっこいい……?」 確かに刀剣男士達はみんな揃いも揃って顔がいい。作り物みたいに。 けど、なんでだろう、こんなにドキドキするのは、この刀と一緒にいる時だけだ。 「どないしたん?」 「べ、別に!なんでもない!」 「そうなん?どうでもええけど、多分そろそろやで。瘴気が段違いに濃くなってきよった。」 「う、うん……ごめん……。集中しないと……!」 そうだ、そういうことはあとからしっかり考えればいい。それからちゃんと言うんだ、助けてくれてありがとうって。 「……なあ主はん。」 「どうしたの明石?」 「もし、もしやで……いや、ええわ。」 気ぃ引きしめていくで。 とそれっきり口を閉じてしまった明石に、私も集中力を高めた。 → https://nana-music.com/sounds/04333680/
