
今剣
数週間後、私は自分の本丸に帰れることになった。 元凶となる今剣が破壊され、本丸の瘴気が規定値以下まで晴れたため、私が帰っても問題ないと政府に判断されたらしい。今剣以外の刀剣達も清められ、障害も残らず元通りになり、みんなで私の帰りを待っていると聞いた。 浮き足立ち、即座に空間移動ゲートを使って私は本丸へ向かった。…あの時のことは詳しく覚えていない。今剣が目の前で自害をし、そのショックから気を失っていたようだ。気がつくと政府に保護され、病室にいた。 …本丸のみんなに会うのは久しぶりだ。 歓迎会の準備をしながら私を待ってくれていた仲間達。 変わらぬ姿で私を待ってくれていた彼らにハグをする。「おかえり」と言ってくれるみんなを見て、満たされた気持ちがした。とても幸せだった。 その日は夜まで宴をして騒いだ。久々のみんなとの再会が嬉しくて嬉しくて、…しかし、自害した今剣を思い、泣きそうな気持ちを隠し、仲間に悟られないように我慢していた。 宴会も落ち着き、後片付けをし始めた頃、ふと気になって、倉庫部屋へ向かった。以前見つけた「アカメ」の刀剣の書かれた紙を探すためだ。あの紙があったことで、私は敵の刀剣を見抜き、また、今剣が黒幕であることを知ることができた。一体、誰があの紙を書いてくれたのだろう。 そして、その紙を見つけた私は後悔する。 赤目の刀剣達の書かれた紙の裏に、掠れた文が一つ書かれていた。 『あるじさまに、あいされたい。』 → https://nana-music.com/sounds/0430cb09/
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