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今剣
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思い出した。 刀の名前の書かれたその紙が、私に全てを思い出させた。私が黒い本丸を彷徨った記憶。そして、その首謀者だった人物のことを。 「 今剣 」 彼を探さなくてはいけない。 刀の残骸に取り憑かれ、本丸中に瘴気を撒くこととなった彼を解放したい。そう強く願った私は、自分を鼓舞し、立ち上がった。 気合いを込めて襖を開ける。外には誰もいなかったが、私は自然と駆け出していた。あちらこちらを見て回り、今剣の行方を捜す。 途中で狂った男士に何度か会ったり、襲われたりもした。しかし、全てを思い出した私は、彼らが敵ではなく、可哀想な、自分の大切な男士達であることを知っていたので、孤独に思ったり、挫けるわけにはいなかった。 探して、探して…。そうして、ようやく彼を見つけた時。あたりに朝日が差しこんでいた。 「見つけたよ、今剣」 彼は本丸にいた頃と変わらず、陽のあたる縁側に横たわり、穏やかに寝息を立てていた。 → https://nana-music.com/sounds/042223c6/

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