§幻想舞踏会§ 後日談【四】~第四試合・濃藍の間/眠井の観察日記その2~
§幻想舞踏会§
§幻想舞踏会§ 後日談【四】~第四試合・濃藍の間/眠井の観察日記その2~
- 120
- 11
- 0
§幻想舞踏会§
後日談【四】~第四試合・濃藍の間/眠井の観察日記その2~
試合開始の数日前、青風八咫烏隊は試合の出場順について話し合っていた。
相も変わらず華やかなお菓子に目を輝かせながら頬張っているさきへとそうまが声をかける。
「さきちゃん今回、試合の出場順自分で決めたい?
僕にはさきちゃんを相手の隊長とぶつける才能が有りすぎるみたいで、2連続であたっちゃったから自分ですきな所出てみる?」
さきは目を輝かせて立ち上がる。
「うん!!そうする!!」
「何番目がいい?」
「えっとね、2番でどうだろ?」
「よし、じゃあ僕は1番に出るよ。」
結果として、この選択は正しかった。
さきが自ら2番を希望したことで、対戦部隊である黒闇夜叉隊の隊長であるレイカがさきとぶつかる事はなかった。
そのかわり、そうま自身がレイカと対峙することとなる。
~~~
レイカとそうまは闘技場へ同時に現れた。
試合開始の合図が響き渡る。
(共闘はしたことあっても…こうやって戦うのは始めてね。)
レイカは本を片手に風を纏っている対戦相手を見据える。
そうまはただ静かに自身の周囲で吹き抜ける風の音に耳を傾けていた。
空を静かに見上げた。
彼は空ではなく、別の闘技場で同時に開始されてるであろう第一試合の出場者を想う。
(ランクで相手が格上なのは百も承知。
手加減なんてして勝てる相手じゃない。
言の葉を音に乗せる…それは想いを乗せる事。
貴女に聴かれなくて良かった…。
僕が今、全力を出せる想いは【コレ】だけだから。)
本に挟まったしおりを握りしめ、大きく息を吸った。
―…あなたが恋に落ちてゆく
その横で私は
そっとあなたに恋をしていたの
何にも気付かないで笑うあなたの
横顔をずっと見ていました
最初から
あなたの幸せしか願っていないから
それがたとえ私じゃないとしても
ちゃんと最後は
隠した想いが見つからないように
横から背中押すから
誰よりも幸せにしてあげて
無数に生まれた竜巻が融合して一つの大きな柱となる。
まさに目視できる空気。
背筋を伸ばして立つレイカへと襲い掛かっていった。
―…Baby, can't you see
I'm calling
A guy like you should wear a warning
It's dangerous
I'm falling
There's no escape
I can't wait
I need a hit
Baby, give me it
You're dangerous
I'm loving it
どこからか歌声がする。
レイカの歌声は先ほどまで彼女がいた場所から聴こえてはいなかった。
そうまがその声に気が付き後ろを振り返ろうとした時には既に遅く、
無数の糸によって振り向くどころか指一本動かす事ができなかった。
「転移魔法で避けたとはいえ、完全に避けきれなかったわ…。
さすが学生の身で隊長を務めているだけあるわね。」
レイカの服は鋭い風により一部が切り裂かれたように破れていた。
もがいても糸が緩む事は無くそうまの動きを封じる。
幾分か抵抗を続けていたそうまも、観念したように脱力する。
「…降参です。もう僕は打つ手なしですね…。」
困ったような顔で溜息をついた。
そうまが隊長たらしめる能力の高さは、こういう時の引き際の見極めや判断力も的確な事からも解る。
レイカは伸び代のあるその学生の才能に感心した。
宝石が七色に光り、闘技場の上空に文字を映し出す。
第一試合
勝者、
黒闇夜叉隊 Reika
~~~
○月×日
そうま先輩が光姫様から栞をもらっていました。
久々にいつもニコニコ笑顔な先輩の違う表情を見れました。
眠井も嬉しくなりました。
その後、赤ノ国のジェイドさんとそうま先輩はコソコソと話し合いをした後、
大きな落とし穴を掘っていました。
きっとボブ先輩の為のものだと思います。
。。。
○月△日
赤ノ国の爽さんが久々に広場跡地へ顔を出し、黄ノ国の夜蝶さんが大喜びしていました。
御二人は以前公開告白し正式に付き合っている初々しいカップルで、
爽さんを可愛がる光姫様に嫉妬している夜蝶さんの様子がとても可愛らしかったです。
眠井は知っています。
光姫様はそんな反応をする夜蝶さんが面白くてやっているのだと。
その後光姫様は、
ボブ先輩がレインさんと夢羽ちゃんを口説いているから自分は爽ちゃんと話しているのだと説明し、夜蝶さんは目の笑っていない笑顔でボブ先輩のもとへ飛んでいきました。
きっとボブ先輩が悪いんだと思います。
。。。
○月◇日
赤ノ国のジェイドさんが黄ノ国の雪季さんとお付き合いしているのは周知なのですが、最近雪季さんが魔法クラブのお仕事で忙しいらしく
あまり会えていないようで寂しそうにしていました。
夜蝶さんが、ボブ先輩と喧嘩すればと言いましたが、ジェイドさんは飽きてしまったようです。
その後何を血迷ったのか、ジェイドさんは光姫様へ
「喧嘩しませんか?」と不思議なお誘いをしていました。
そしてあろうことか光姫様もそれを快諾してしまいます。
夢羽ちゃんは「光姫様可愛らしい…」と惚けていて止めようとしません…
ていなん様とボブ先輩が慌てて御二人を引きはがしてました。
ボブ先輩は光姫様を抱え上げそそくさと何処かへ退散してしまいました。
最初は抱き上げられることに抵抗していた光姫様も、なにやらボブ先輩が手に持つ花を見せたら大人しくなり運ばれていっていました。
きっとボブ先輩が脅したんだと思います。
。。。
○月☆日
赤ノ国の暁月さんが性転換魔法について聞いて回っているとのことでした。
なんでも白ノ国のレインさんに相応しい相手になるためだとか…。
眠井は予測します。男になったとたん過保護な光姫様に制裁されると…。
とりあえず今はボブ先輩が攻撃を一身に受けているおかげでハンペンくんやジェイドさんが無事なので、
このままボブ先輩に頑張ってもらいたいと思います。
。。。
○月◎日
ジェイドさんが物理で喧嘩しようと今日も光姫様に謎のお誘いをかけてました。
光姫様は何のトラウマかジェイドさんの大剣が怖いようです。
そしてふと思いついたかのように、
「私にも武器が欲しい」
と光姫様は考え込みだしました。
暁月さんは「猫じゃらし」
黒ノ国のレイカさんとジェイドさんは「素手」と言います。
眠井も光姫様は素手でいいと考察します。
重たい物はもとの身体能力的に振り回せませんし、邪魔になるだけだと思います。
強いて言うならば
ボブ先輩が盾になると思います。
。。。
○月$日
夜蝶さんに投げ飛ばされた光姫様がボブ先輩の上に降ってきました。
ボブ先輩がそこにいたのが悪いと思います。
。。。
○月£日
黄ノ国の朱様と光姫様の御二人にとある場所へ呼び出され、眠井の魔法でとあるモノを複製してほしいと頼まれました。
中々の記述量と魔力を要する内容だったので、今日からしばらく複製魔法に集中したいと思います。
七ノ国発足まであと少し、最後の試合が終わる頃までには完成させようと思います。
それも全てボブ先輩が悪いt=
(二重線で消されている)
いつもの癖でお約束の文を書いてしまいました。
今日はボブ先輩は悪くありません。
…つづく
コメント
まだコメントがありません