§幻想舞踏会§ 第四十話~五つの加護~
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§幻想舞踏会§ 第四十話~五つの加護~
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第四十話~五つの加護~
爆音が響き渡った。
全ての拠点島で煙が立ち上がる。
轟音が大陸へとこだまする中、
全ての島で拠点の施設が崩れ去った。
「…どうだ…?」
いち早く拠点の破壊に成功したのは、赤ノ島だった。
ジェイドと共に、瓦礫となった施設を見つめる。
「…風が止んだ。」
そうまがあたりを見渡す。
拠点を破壊すると、周囲を囲うように生えていた木が、急速に枯れ、そして吹き続けていた風が止んだのを察知した。
「地盤が…!」
朱の声で黄晶麒麟隊の全員が地面をみると、螺旋状に敷き詰められていた石畳が乱れ、地面が隆起しだした。
(防衛システムの魔法陣が…崩壊した。)
「オーナー!柵が…!」
なるせの声でレイカは周囲を見渡す。
拠点を囲うように並べられていたはずの柵が、黒い霧となって消え去って行く。
隊士達に疑念がよぎる。
(この選択は…あっているのか…?
他の島は…)
~~~
一番最初は白ノ拠点島だった。
突然夜をも消し去るかのような眩しい光が、白の拠点島から別の島々へも届く。
それを皮きりのように、
黒ノ拠点島では漆黒の光が
赤ノ拠点島では深紅の光が
青ノ拠点島では群青の光が
黄ノ拠点島では黄蘗の光が
崩れ去った拠点の下から噴き出した。
そして…
五国それぞれの美しい色味を持った、宝石が現れた。
~~~
「…これが……加護…。」
目の前で純白に輝く魔法石を、光姫は見つめる。
眩しい光なはずなのに目を逸らせないその光は、全てを照らす陽光よりも美しかった。
加護は一際眩しく輝くと、七色の宝石へと飛んで行く。
全ての島から集った加護は七色ノ宝石の元にたどり着くと、宝石を囲むように並んだ。
七色ノ宝石は空へと文字を映し出す。
< 最重要事項がひとつ
加護の浄化が完了
加護の浄化が完了
次段階へ移行
神官へ記憶の共有を行う >
七色ノ宝石の文字と同時に五つの加護から無数の粒子があふれ出していた。
まるで夜空の天の川、その美しい粒子は空を舞い、拠点島の上空から粉雪の如く、
全ての隊士へと降りそそいだ。
粒子が隊士達の身体へと溶け込むと、脳内に声が響き渡る。
その声は女性の様でもあり男性の様でもあり、幼子の様でもあり老人の様でもある。
何重にも重なっているかのような神秘的な声だった。
『神官達よ。いまこそ
切り取られた歴史を
全て明かそう。』
………つづく。
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