§幻想舞踏会§ 第二十一話~無慈悲な決着~
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§幻想舞踏会§ 第二十一話~無慈悲な決着~
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第二十一話~無慈悲な決着~
「で、実際にはどのくらい時間を稼げばいいんだ?」
ボブがそうまに尋ねる。
「うーん…。とりあえずカップラーメン作るくらいは絶対必要かな~」
風魔法に種を乗せで拡散弾の様に撃ちつづけ、攻撃へと転じられないよう手数を注ぐ。
すると、横からきた炎にボブの種が燃え上がった。
「ああ!俺の大事な種が!」
「ああボブ君のでしたか。敵のお粗末な攻撃かと思いましたよ。」
ジェイドがサラっと答える。
ボブは黒こげになった種をひろい、くって掛かる。
「なんだこの野郎、あの魔石は俺とそうまでなんとかするから頭でも撫でられてろリア充め。」
「いいや、僕とていなん様でなんとかする。そっちこそひっこんでろ天然たらしのリア充。」
「「誰がリア充だ!!」」
ボブとジェイドは歌を歌い出し、乱闘の様なものを始めてしまった。
「あ~あ…君達目的を忘れないでよ…。」
そうまの小さい溜息が響く。
[魔石の意志]はそんな2人に向けて光の剣を生み出し、投げつける。
「邪魔を…」
「しないでください!」
2人が同時に魔法術式を展開、光の剣は粉々に砕けて行った。
そして改めて向き合い、取っ組み合いを始めようとしたその時、
「あんたたちいい加減にしなさい。」
「グハッ」
「イダッ」
環の鋭いげんこつが2人の頭へと振り下ろされた。
「喧嘩は後!今はやる事あるでしょう!
まだ続けるなら…(武器にして)投げるよ?」
「「…すみませんでした。」」
「…何やってるのあの子たち…」
空から見届けるレイカは、あっけにとられていた。
~~~
「…ん?」
光姫は魔力の気配を感じ、閉じていた目を開く。
光姫が現在いる次元は七色ノ宝石に【無色の間】と呼ばれており、
その空間は真っ白で壁も床も、ましてや天井もない、
【全くの無の空間】である。
特に魔力が消費される訳でもなく、空腹等に悩まされることもないその空間でただ静かに身委ねていた。
そんな空間に魔力を纏う黒い点が生まれた。
(…この感じ…。)
「…レイカさん?」
黒い点は徐々に大きくなっていく。
そして、そして人が1人通れるほどにもなると、黒い空間の向こうからはいくつもの衝撃音がわずかに響いていた。
「ん~…?
おかしいですね…私の見立てだと…。」
光姫は疑問を抱く。
処分が決定していないにも関わらず、外への扉が開かれる。
しかも宝石自身ではなく、1人の隊長の手によって。
そしてそれを七色ノ宝石が黙認しているという事態である。
「ふむ…。まあ処分が重くなったらそれはそれでいいか。」
光姫は破壊音の響く黒い空間へと手を伸ばした。
~~~
「…きた。
ふあのん、影伝魔法を。」
「はい!」
レイカが反応し、ふあのんへ指示を送る。
ふあのんはもっていたぬいぐるみを躍らせるように歌を紡いでいく。
するとぬいぐるみの影が消え、戦っている隊士達の元へと飛んで行った。
「リンク完了です。」
「みんな!10秒後に転送魔法を展開するから戻ってきて。」
レイカの声はふあのんの影伝により全ての隊士へ届く。
その指示通りに全員が転送魔法の中へと飛び込んだ。
各々が息も切れ切れに戻ってくる。
「で…姫様は…?」
「もう出てくるわ。」
そう言い終わると同時に、レイカの真横で黒い空間が広がる。
その空間から手が出てきたと思うと、光姫がいつもと変わらぬ姿で現れた。
「ああ…やはりレイカさんの魔法でした…か…。」
光姫の動きが止まる。
光姫の視線はレイカ達の後ろにいる隊士達に注がれていた。
みーが涙を流しながら振り返る。
「ひ…姫様…」
みーの回復魔法の対象には傷だらけのまりー。
その周囲のシャア、夜、レインもボロボロだった。
白の隊士だけではない、他の隊士、特に肉体強化に特化しているはずの黄隊ですらボロボロになっていた。
隊長達も満身創痍と言わんばかりに肩で息をしている。
光姫は何かを説明しているレイカをそのままにゆっくりと無言でみーの元へと向かっていく。
「姫様…ごめんなさい…みんな…守れなくて…。」
みーの頬をつたう涙を、光姫はそっとすくう。
そして何か言葉を口ずさんだ。
すると光が波紋のように広がり、全ての隊士へとあたる。
まりーがゆっくりと目を開いた。
「あ、姫様…どこで昼寝してたんですか…。」
「ごめんなさいね。ちょっと寝坊したみたい。」
そう言うと、光姫はスタスタとそうまの作り出した風の壁に向かって歩いて行く。
すると風の壁は光姫を避けるかのように穴が開き、光姫はそのまま広場へと降下していった。
まりーは身体の痛みが無い事に気が付き、自身を見回す。
傷は完全に癒えていた。
あたりを見渡すと、他の隊士の傷も癒えている。
「ま…まずい…。」
まりーが飛び起き、光姫が通った穴から顔をだす。
「どうしたのまりーさん?」
レイカが尋ねる。
まりーは、真っ青な顔をして小さく答えた。
「…姫様…キレてる…。」
~~~
[魔石の意志]は空から降下する人物を見上げ、思考演算を行う。
< 対象 隊長ガ一人 光姫 >
< 討伐対象 ニ 追加 >
[魔石の意志]は渦潮を生み出し、雷を帯電させたものを光姫に向けてはなつ。
「…。」
光姫はただ降下しているだけなので避ける術がない。
しかし、防御膜を展開することはなかった。
手で払いのけたのである。
予想外の結果だったのか、[魔石の意志]は手を止める。
光姫は広場に降り立つと、その惨状を見渡す。
「…広場はいいんです。私達から供給されている魔法で自動回帰されますから。」
誰に語るという訳でもなく、つぶやく。
「そんなことはどうでもいいんです…。
広場が焼け野原になろうと…
拠点の屋根が吹き飛ぼうと…
…よくも私の大切な隊士を傷つけましたね。」
[魔石の意志]は耳を持たない。
故に、光姫の言葉は聴こえていない。
だからこそ、対象である光姫が発した殺気のみに純粋に反応した。
即座に距離をとるために空中へと飛び立つ。
しかし[魔石の意志]は突然の衝撃に地面に激突した。
光の球が背中にぶつかったのである。
うつ伏せになりつつも、状況の把握と学習の為の演算を繰り返す[魔石の意志]も意に介さず、光姫は言葉を続ける。
「…私がなぜ普段歌を実際に歌わず、
魔法が発動させているかご存知ですか?
実際に歌うと……
……加減が出来ないからですよ。」
光姫はかんざしに付いている、青い玉を指さす。
「これ、まりーさんの胸元に付いている宝石と同じ代物です。
これは【抑圧珠】と言い、術式と共に取り付ける事で、取り付けられた方は個数に応じて魔力を制限されます。
本来は、従者が王族へ万が一でも危害を加えないように造られたものです。
まりーさんの珠は私が付けたので私だけが解除することができます。
そして、私に付いているこの珠は多重連填式の珠でして、どれか一つでも取れてしまうと、この術式は全ての珠が機能しなくなります。
これも私自身が付けました。
…何が言いたいかもうわかりました?」
ニッコリと微笑むと、光姫は青い薔薇のコサージュの傍についていた、複数連なっている珠のうちのひとつを取り外す。
次の瞬間、拠点島を含むすべての島にいる隊士はその異常事態を感じ取ることとなった。
七色の宝石が突如不規則に光出し、各拠点島は侵入者を排除するための防衛魔法が発動、いないはずの敵を探し出す。
そして全ての隊士が厚手の布に包まれるかのような圧迫感と息苦しさを感じ、形容のできない胸騒ぎを胸に事態を把握できずに困惑していた。
島々は重心のバランスが崩れたのか様々な方向に傾き出し、その影響で島同士を繋ぐ橋が鈍い音を立てて崩壊していく。
傾いた事により島から落ちないよう、バランスをとるために[魔石の意志]は地面に手を付き姿勢を整える。
すると自身の影が伸び縮みしているかと思ったら様々な方向へ向きを変えたり等、不規則に動いていることに気が付いた。
自身の影を生み出しているのはこの屋外の日中では一つだけのはず。
影の動きに気が付いた全員が自然と視線を空へ向けた。
…太陽は変わらず存在していた。
いつもの如く遥か空の上で島々をそして大陸を照らし輝いている。
しかし何かがおかしい。
真っ直ぐと伸びるはずの光の道が途中で歪んでいる。
そこで光の不規則な屈折が発生している。
普段ならば太陽や街灯等の人工物以外では不可視なはずの光が、目視できるという異常事態を理解するには時間はあまりにも短かった。
目視できるほどに凝縮された光は巨大な魔法陣へと変貌をとげる。
光姫はゆっくりと目を閉じ、そしてこの島に来て初めて
試合でもない場で、歌を奏で始めた。
―…さあ響き渡れ
空に輝く光のように
大地を包め
栄光の歌よ
降りそそげ音色という福音
すべての人の心へ
届けこの空の島から
幻想とともに
歌声に呼応するかのように魔法陣が空で白く光る。
[魔石の意志]は魔法陣の領域外へ出ようと後ろへ飛びのくべく、体制を整えようとした。
…それは不思議な光景だった。
「…どちらへ行かれようとしてるのです?」
光姫の言葉と同時に背後で鋭い閃光が起きた。
[魔石の意志]は飛びのく動作をやめ、背後へ視線を移すと、自身の足元より後ろにあったはずの地が消えていた。
[魔石の意志]はまだ後方へ飛びのいてもおらず、ましてや体制を整え直してもいなかった。
<後ろへ飛びのこうと体制を整えようとした>だけなのである。
にも関わらず、[魔石の意志]が今いる位置より後ろの地面が消失した。
破壊されたのでもなく、崩れ落ちたのでもなく、眩い閃光と共に消し飛んだ。
そうとしか説明ができない一瞬の出来事であった。
正に光の速度。
何が起きたのか状況を理解する暇もない程の状況に[魔石の意志]は動けずにいた。
「あらあら、状況が理解できずに困っておいでですねぇ…?」
[魔石の意志]は作られたその意志の中に蓄積されたデータで、現状を把握するためのあらゆる仮説を瞬時に立てていく。
仮説・証明・不成立・削除…
仮説・証明・不成立・削除…
そして、最終的に残った一番濃厚とされる仮説が導き出されると、
[魔石の意志]の最優先事項は
【現存隊士の蹂躙】という使命から
【無事に即時撤退】することへと変わった。
[魔石の意志]は最初に現れた時と同じ、時空の歪によるゲートを作り出す。
…いや、作り出そうとした。
しかし、作り出される前のわずかな歪みごと、またもや光によって消え去った。
[魔石の意志]は今回はしっかりと見ていた。
見ていたというよりは感じたに近いであろう刹那の時。
空の魔法陣から光の魔導砲が撃ち落とされていたのである。
ならば話が早い、上に【消されたら困る物】がある位置に移動すれば良いのだ。
[魔石の意志]は即座に地を蹴り、七色の宝石の下に位置する場所へと飛ぶ。
今回は行動を起こす前に行動先が消えることはなかった。
そして不敵な笑みを浮かべ、もう一度ゲートを開こうとした。
…そう、<開こうとした>のだが、ゲートが開かれることはなかった。
ゲートを開く予定だった位置がまたもや消し飛んだのである。
[魔石の意志]は上を見上げる。
上には七色の宝石が不規則に乱れた光を動きを見せつつも、欠損無く浮いていた。
なぜ宝石は無事なのか、
[魔石の意志]が理由を導き出そうとする前に光姫は口を開く。
「…なぜか知りたいですか?」
殺気の波を感じ取り、光姫の方へと視線を向ける。
彼女は最初と変わらず同じ場所に立っている。
そして歌いだしていた時と同じよう、目を閉じたままで。
そしてゆっくりと開かれたその目は、黄金色に染まっていた。
「光というものは屈折するんですよ。
水やガラスに通すのが代表的な例ですね…。
そして私の光のように質量をもつほどになると、光同士のぶつかり合いでも屈折がおこります。
ただ真っ直ぐ落ちてくると思わないでくださいね。
今そちらへ移動することを見逃したのは、その方が解り易いと思ったからです。
直下でしか当たらないというその【仮説】を崩すのにね…
…あらあら、人が話しているのにどこへ行こうというんです?」
[魔石の意志]はまだ動いてすらいないのに、またもや移動するつもりだった先の地面が消えてしまった。
…空の空間から見ている者からすれば、不思議な光景だろう。
[魔石の意志]は何もしておらず、動いてもいないのに光はそれの周囲を消し去り、また[魔石の意志]自身も何をされても動かないという状況である。
光姫と[魔石の意志]の状況を不思議に思うみーがまりーに尋ねる。
「まりちゃん、あれ…何が起きてるの?」
まりーは自身の胸元の抑圧珠を握りしめ、冷や汗を滲み出していた。
「…あれが姫様の本気。
姫様の簪を含む装飾にあしらわれている多重連填式の制限量はその個数に比例するの。
私が確認しているだけでも姫様は6個以上はつけていたはず…。
この形容しがたいプレッシャーは姫様の溢れだした力そのもの。
隊長様方レベルでないと、息苦しくすら感じると思う…。」
レイカは腕を組み、状況を冷静に考察していた。
「まりーさんひとつ教えて。なぜ[魔石の意志]は動かないの?何かの魔法?」
そうまも考え込むように空を見上げる。
「あの魔法陣の下は姫様以外動けないとかかな?」
「いいえ、違います。」
まりーはキッパリと否定する。
「アレは魔法ですらありません。我々白ノ国ははるか昔より他者を薬と魔法で癒し【薬学の国】と言われているのは御存じでしょうか。」
「そうね。そして代々その時代で最も魔力の高い王族に【光姫】という冠名が受け継がれるのよね。」
レイカがいまだ動かずにいる2人を見つめながら答える。
「はい、薬学にあわせ治癒魔法や身体強化魔法などが磨かれていた白ノ国では、
現代まで、初代王族から派生したと言われている白ノ民は、他の国に比べ他者への干渉術系が得意な者が多いのです。
そして、姫様は母君であるお妃様がご健在にも拘らず、光姫を受け継がれたのには理由があります。
…魔力の高さはもちろんですが、誰よりも初代に近いお方だったのです。」
「…初代に近い?」
「干渉術式を他者へ使用するには対象相手の魔力特定がとても大切になります。
れーちゃんが干渉術式を仲の良い方へ無意識に発動してしまうのも、みーさんが回復魔法を白ノ隊士以外へは満足に使えないのもそこが起因しています。
みーちゃん、姫様がこの広い国でみんなを見つけ出したでしょう?」
「あ、うん。お店に入ってきて真っ直ぐみぃのとこへ来られたよ。」
「そう、姫様はあの広い国から迷うことなくみーちゃんを含む4人を探し出したの…。
つまり姫様は、誰よりも魔法を感じ取る力に特化している…。
…姫様が持つ能力の一つは、
初代光姫にも備わっていた能力でもある【魔力感知能力】です。」
「それは誰にも備わっているものじゃないのか?」
ボブが訝しげに尋ねる。
そうまはその隣で、光姫による青の拠点島訪問時の事を想い出し黙っていた。
「感度のレベルが違うの、ボブ。
姫様は魔法を使う人の身体の中を走る魔力の動きまで感じ取ることができる。たとえどんな小さな仕草でも。
魔法を使う人は行動する時に脳の電気信号と同じように動かす部分に魔力がはしる。
それを姫様は漏らすことなく察知できるの。
抑圧珠による制限のない今の状況なら、多分離れている私達の今のこの行動すら瞼の動きまで感じとられていることでしょう。」
「そうか…」
口を閉ざしていたそうまが、声を出す。
「つまり姫様は相手が動き出す前にわかるから攻撃ができ、相手もそれに気づいたからうかつに動けないのか…。
さきちゃんが操られていた時も、すぐに気が付いたのはそれが理由だったんだね…。」
「チート…?」
「しーちゃん、チートは物語上言っちゃいけないかな…。」
「こうなった以上は、もう結果は決まったようなものなのね。」
そんな会話が続く中、光姫と[魔石の意志]は動くことなく見つめ合っていた。
逃げようとすれば動く前に消されてしまう。
そんな状況で1%でも確率のある手段を算出するべく、[魔石の意志]は予測と証明を繰り返していた。
そして、選択肢がひとつしかないという結果が導き出された[魔石の意志]は意を決し、行動に移した。
自身の四肢の駆動範囲ギリギリに魔力の大半を使用した防御膜を作り出し、片手にわずかな魔力で刃物状の武器を作り出す。
そして、真っ直ぐと光姫に向かって突進してきたのである。
「そう、それが正解。」
光姫がニッコリと笑う。
[魔石の意志]は刃物を容赦なく突き刺してきた。
しかし、その切っ先が光姫に触れることはなかった。
光の膜によりピッタリと止められてしまっったのである。
「私が魔法陣展開時は防御膜を張れないだなんて…誰も言ってませんよ?」
それ以上前に進むこともできない刃物を模った片手を光姫は両手でゆっくりと包み込む。
すると、[魔石の意志]が作り出した防御膜は織物が解けるかのように崩れていった。
「…ああ、思い通りに動いてくださって
本当にありがとうございます。
…おかげで…」
[魔石の意志]は必死に抵抗しようともがくが、全身を動かすことが全くできない。
光姫の干渉術式からなる拘束魔法により触れられた手から四肢の自由を完全に奪われてしまう感覚に、思考が警鐘を鳴り響かせる。
光姫はそんなことも意に介さず言葉を続ける。
「おかげで……
……ふふふっ
………こんな近くで、しっかりと。
…あなたの苦しむ最後が見れます♪」
[魔石の意志]が初めて苦悶の表情を見せた次の瞬間、空から降りそそぐ光によってソレがいた場所は消し飛んだ。
そして空にいる隊士全員が脅威が去った後、同じことを考えていた。
(((((…<敵が>可哀想…。)))))
~~~
[魔石の意志]が消し去った後の広場に隊士全員が降り立つ。
「…穴だらけ。」
今までに類を見ない惨状の広場にも拘らず、隊士達には安堵の色が見えていた。
光姫は抑圧珠を付け直し、普段と変わらぬ雰囲気に戻っている。
「姫様!」
レインと夜が駆け寄って行く。
「姫様!御無事で!」
「さあ!さあ!拠点に戻りましょう」
光姫はいつもと変わらない笑顔でレインたちの頭をなでる。
「そうですね。とりあえずは拠点に戻りましょうか。
レイカさん、そうまさん、ていなんさん、朱さん。
すみませんが後お願いします。
仕事はまりーさんに押し付けていいから☆」
「ええ!?」
光姫は驚くまりーをそのままに、ゆっくりと拠点へと戻って行った。
「姫様、やるだけやって戻って行くね…。」
朱が静電気で広がった髪を抑えながら話す。
「隊士が無事ならそれでもう満足とか?親バカならぬ長バカだね。」
ていなんも呆れ顔で続く。
そんな隊長達の元へみーが寄って行く。
「違いますっ。姫様は…お昼寝するんです!」
「ひっ昼寝!?」
その声に聞こえていた全員が、驚く。
まりーが苦笑いを浮かべながら続ける。
「あ~…姫様にとっては、魔法を大量消費したら太陽の出てる下で寝るのが一番の回復になるんですよ。
それと同時に魔力に織り交ぜて光量を身体に蓄積させるんです。
光姫様だけが持つ干渉術、【自己干渉】です。
まあ…普段は寝るほどにまで魔法は使わないんですけどね。」
「だから姫様はあのときも昼寝してたのね…。」
レイカが納得いったかのようにうなづく。
太陽は、今日も変わらず天空の島々を照らし輝いていた。
.....§幻想舞踏会§
【第ニ章】始まる戦いと煉獄の魔石 完
コラボ曲:Los!Los!Los!
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