nana

冬の温度
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今年一発目の台本です。気付けば6作目。 ラスクラ企画で書かせてもらいました。 使用の際拍手やコメントくださると喜びます。 性別変更、口調の軽い修正はご自由にどうぞ。 結構時間ぎりぎりで作ってしまったので、間とか話すペースで調整して頂ければ……。 温かかった冬の記憶に比べて、今年は酷く冷える話。  * * * 雪を見ると思い出す。 きみの声を、姿を、温度を。 不意に駆け出した私を追い掛けてくれたことを。 道端にしゃがみこんだ私に「どうしたの?」と問うきみに、地面から掬い上げた真っ白なそれを見せてはにかむ。 雪だ。 先週降った雪が、日陰で溶けずに残っていた。 すごいね、まだこんなに綺麗! なんて言ってはしゃぐ私に、仕方ないなあ、と言いながら、きみは私と両手を繋ぐ。 手袋もせず雪に触れて、冷えきっていた私の指先が、きみの温度で溶けていく。 日溜まりに積もる雪が、ゆるゆると溶かされていくように。 ……けど、今年は酷く寒いらしい。 指が冷たい。 ほら、こんなに冷えてるんだよ。 そんなことを言ってみても、もうきみはここにいない。 雪を掬い上げてみても、笑ってくれるきみは、もうどこにもいない。 それなのに、きみの声も、姿も、温度も……。 何一つ消えてはくれなくて……。 この心は、日陰に降り積もった雪のように、いつまでも溶けてはくれなかった。  * * * 恋人だった人が、いなくなってしまった。 手を繋ぐ相手のいない今年は、指先が酷く冷たいまま。 恋人は亡くなったのか、別れてしまったのか……それは読み手の皆さんにお任せします。 #悲しい #BGM #YouTube #ミクチャ #ツイキャス #セリフ #朗読 #朗読台本 #一人声劇 #ラスクラ企画 #残り雪

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