§幻想舞踏会§ 第十四話~煉獄の魔石~
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第十四話~煉獄の魔石編~
その異変は突然起きた…。
隊士達はいつものように拠点島や中央広場で、自由に過ごしていた。
一番最初に気づいたのは、赤炎鳳凰隊のジェイドだった。
「ていなん様、本日もどこへ行かれたのか…。」
「えー多分またどこかで女の子たちと遊んでますって~」
部下の暁月と林檎を引き連れながら、
自身が仕える主人である、ていなんを探す為に広場をうろつく。
周囲を見渡していると、舗装された地面に雲とは違う丸い影が落ちていることにジェイドは気が付いた。
(……?)
不思議に思い、太陽の光を避けるように手をかざしながら見上げる。
「…な、なんだアレは……。」
「ん?どうしたんですか?」
ジェイドの漏れ出た声に釣られて暁月と林檎も見上げる。
そこにはいつもと変わらず、宙に浮く宝石…
の、横に位置する空間が丸く、そして暗く歪んでいた。
「…広場の皆さん!!注意してください!
空に…何かが現れます。
各隊万一に備え戦闘準備を!!」
ジェイドの危機管理能力が警鐘を鳴らし、広場にいる全ての隊士に聞こえるかの大声で叫んだ。
その声に、広場にいる全員が空を見上げると
歪んだ空間から、黒く禍々しいオーラを放った宝石が姿を現した。
いや宝石と呼ぶにはあまりにも歪で、岩のような形状をしている。
しかしそれを見た全員が脳裏によぎったのは「危険」の二文字だった。
「各隊!隊長へ報告を!!
戦力が分散しているのはまずいです!
それぞれ拠点島へ戻り、部隊形成を!!」
ジェイドの指示で広場にいた隊士はそれぞれの島へと走って行く。
黒い宝石は、次の手順に移るためのエネルギーを蓄えているかの如く、鼓動を刻んでいた。
~~~
誰もいなくなった広場の上空で、天空の宝石が七色に光り出し
上空へ文字を映し出した。
緊 急 k 知
緊k 事態発生
緊急事態発 生
各隊士s 闘配備
『煉獄の魔石』
出現
魔導砲エネルギー
各k 島へ感知
エネ ギー量からの
対応可能隊士ランク
暫定計測【S~】
各部隊防衛セヨ
~~~
「見て!告知が…!」
「魔導砲…!?島へ撃つ気なのか!」
「私たちが扱う夜の魔法とも違うみたい…あれはただの闇魔法じゃないよ」
「凄い…凄いわ…!」
「おい変態魔法オタク!今はそれどころじゃない!
見ろ…煉獄の魔石とやらが五つに分裂したぞ…。」
「これはスクープ…だ…」
「全員目標から目をそらすな!」
「はい!」
「魔導騎士空域戦闘形態を維持!」
「「了解」」
「ひえ~凄いね~さすがの私もお菓子の手が止まるわ」
「先輩、普段から色んな魔法(制裁)くらってる先輩なら受けれません?」
「バカを言うな!この遠目からでも解る位にアレはマズすぎる。」
「分裂した五つの魔石がエネルギー増幅してる…」
「さすがにクマのきぐるみ着てる場合じゃないわね。」
「…私にかけられた魔力制限はまだ解除されてない…。
どうすれば…!?」
~~~
五つに分裂し、エネルギーを増幅させた魔石は
それぞれの拠点島へ向けてその蓄えたエネルギーを集約させ始めた。
空間はさらに歪み、広場の植物の動きが魔石へと空気が吸い込まれていく様を表していた。
そして、ピタリと空気が止まった次の瞬間、
五つの魔石は、
その蓄えたものを爆発させ吹き出すように、黒紫色の魔導砲を拠点島へ放ち始めた。
~~~
「落ち着きなさい」
「ここは私が!」
「させるかよ」
「みんな僕の後ろに」
「あらあら、少々おいたが過ぎるのではなくて?」
それぞれの拠点島の入り口に立つ人影は、歌を奏で始めた。
~~~
「夜を統べる闇の美しさ
…今ここに顕現なさい」
レイカは正面で組んでいた両手を広げると、レイカ自身の影が一陣の魔法陣となり、装身具を身に纏ったエルフの様な女精霊の上半身を生み出した。
影でできている為、表情は伺えないがそのシルエットはとても美しかった。
魔法陣より現れた精霊を模った影はレイカと同じように両手を広げる仕草をし、真正面から魔導砲を受け止めると、
影はそのエネルギーを漏らすことなく吸収し、上空へと転送・放出させていった。
~~~
「天駆ける雷帝麒麟の御霊
その蹄に纏いし力より裁きの雷を!」
朱は天に向かって手を仰ぐと、上空に黄色い光がバチバチと音を立てながら集結し、
放たれた魔導砲を凌駕するスピードで鋭い雷魔法が落ちてきた。
魔導砲は降り続ける雷魔法によって相殺され、ある一定距離以上島へと近づけずにいた。
~~~
「全てを飲み込み灰塵へと成す気高き炎よ
我の心に応えろ!」
ていなんは両手を正面に突きだすと、肩から手の先へ向けて真っ赤な炎を生み出していった。
炎は手先へと集まって行き、巨大な炎の球体が出来上がる。
その炎の球は魔導砲を真正面から弾いていった。
~~~
「大気を統べる風よ
神ノ使徒の如く我らの導き手となれ」
そうまは手元に現れたタイトルの書かれていない本を開く。
本は独りでにページがめくられて行き、
あるページでピタリと止まると、本の中から数本の大きな竜巻が生まれ出た。
竜巻は魔導砲を包むとその風力エネルギーを利用して軌道を湾曲させ直撃を避けていた。
~~~
「せっかく昼寝してたのに…
困った石ころですねぇ。」
光姫は退屈そうに溜息をつきながら、左手の人差し指を立てクルクルと小さく回す。
すると白の拠点島は半透明な光の膜で出来た球体に包み込まれた。
そしてもう一度指をクルクルと回すと、下の国々へ被害が行かないよう五つの拠点島と中央広場全てをさらに大きな光の球体で包み込んだ。
放たれた魔導砲はその膜に触れた先から次々と消滅していた。
「…いやいやいや!姫様!呪文!
きっと他の隊長は格好良い見せ場演出してるのに!
なんかこう!ほら!私達の国もカッコイイ見せ場を!!」
「え、見せ場だったの?何も考えて無かったエヘヘ」
「いやーさすがうちの姫様はブレないわw」
「しーちゃん、笑い事じゃないよ…」
~~~
全ての拠点島にてそれぞれの隊長は迎撃をしていた。
そして隊長全員が同じことを考えていた。
黒(隊の中で迎撃が可能なのは)
黄(おそらく私だけ…)
赤(他の部隊も同じで隊長が食い止めてるだろうね)
青(あの石を破壊さえすれば終わる…)
白(早くお昼寝の続きがしたいなぁ)
果たして、全ての部隊でこのピンチは乗り越えられるのか
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イベントストーリー
『煉獄の魔石』編 スタート
コラボ曲:衝動×パンデモニクス
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