§幻想舞踏会§ 第十二話~第二回戦・紫色の間~
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§幻想舞踏会§ 第十二話~第二回戦・紫色の間~
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第十二話~第二回戦・紫色の間~
※ファンタジー要素がかなり濃いめです。
苦手な方はスルーでお願い致します。
試合の中でも特に印象的だった試合又はシーンをストーリー調に編集しました。
この島に集った隊士は、男性が少ない。
三十名いる内
赤炎鳳凰隊に二名
青風八咫烏隊に三名(二名)
そしてその数少ない男性が一つの試合に集中するという注目の一戦が
紫の間・第三試合コラボ戦だった。
ジェイドと爽は、うなずき合うと一言だけ交わし
歌を奏で始めた。
「「ていなん様の御心のままに」」
―…メーデー
僕と分かっても
もう抱きしめなくていいんだよ
メーデー
僕が解かったら
もう一度嘲笑ってくれるかな
爽の歌声は炎を纏ったたくましい馬となり、
ジェイドの歌声はその馬を包み込み、まるでユニコーンのような
鋭い角を生み出した。
「先輩、熱いっす…僕死ぬかもしれない…。」
「アホ。歌同士の戦いで死ぬわけないだろう。
こんな熱、吹き飛ばせばいいんだ。」
―…Da-da Da-da Da-da-da
Oh, what a drag night Yeah Yeah
One the night. Satan get "night" "sunday"
Turn away, shakin' the "sherry" now
Drag night Yeah Yeah
"Cherry" can me all of the night crazy
ボブとハンペンは風という糸を織るように交互に歌いだした。
すると、風は壁のように大きく、そしてシンプルな造りの盾となった。
馬は嘶き、角を盾へと一直線へ突き出してきた。
そして、角が盾へと触れた刹那、
盾から爆発のように風が吹き出した。
暴風を閉じ込めた強固な塊を、鋭利な攻撃で傷が入ることにより、
カウンター攻撃となったのである。
馬は風に掻き消え、その後風を出し尽くしたであろう盾も静かに姿を消した。
宝石が七色に光り、闘技場の上空に文字を映し出す。
第三試合
勝者、
青風八咫烏隊 ボブ・ハンペン ペア
~~~
季節は冬…
空に浮かぶこの島にも季節はある。
雲の上を浮遊しているその島の天候は、基本変わらない。
にも関わらず、今その島には大量の雪が降り積もり、
ありとあらゆる所に大小様々な雪だるまが作られていた。
事の発端は、数刻前に巻き戻る…
「…勉強がはかどらない。」
トボトボと広場を歩くのは青風八咫烏隊の夢羽。
勉学の進捗が芳しくなく、気分転換にと散歩に出てきたのである。
溜息をひとつつくと、夢羽は周囲を見渡し人がいないのを確認すると、大きく息を吸い歌いだした。
「…勉強がぁ~♪はかどらない~♪」
夢羽の専攻は地質気候学。大陸の場所によって変わるこの世界の特異な気候を研究解明する分野である。
彼女の歌は周囲の空気を氷点下にし、小さくも太陽の光に輝く氷の結晶を作り出していた。
「…凄い…!」
「え!?」
突然の声に驚き夢羽が振り返ると、そこには白光天照隊のレインがキラキラとした眼差しで氷の結晶を見ていた。
夢羽は自分の適当すぎる歌を聴かれた羞恥であたふたとする。
「き、聴いてた…?」
「うん!凄いね!綺麗!」
レインの無邪気さとは別に事実確認をしたことによって夢羽の羞恥心ゲージが上昇し続ける。
「あ…う…。」
「ねえもっと見せて!」
(え?!あんな勉強の歌をもう一度!?)
プルプルと顔を真っ赤にする夢羽は、詰め寄ってくるレインから後ずさる様に離れると、自然魔法化学科にいる先輩の真似をすることにした。
「そ!そんな事より、私と一緒に…ゆ、ゆ、
雪だるまつく~ろ~♪」
歌を歌い雪だるまを作る為、空気中の水蒸気を結露させ雪を作り出す。
羞恥心によるパニックとごまかす為の歌に必死な夢羽。
「わぁ~!凄い凄い!」
そんな事も露も知らないレインは無邪気に喜んだ。
「うん!一緒に作ろう!このドアを開けて~♪一緒に遊ぼう♪」
つられて一緒に歌いだすレインは無意識に魔法を発動していた。
レインの魔法は他者への干渉術である。
いわば、味方の魔法を強化したり逆に敵の肉体へ負荷をかける等サポート特化の魔法である。
レインは無意識に歌う事で、夢羽の魔法を強化した。
すると、夢羽の作り出す雪の量が三倍、四倍と増えていった結果、先述のようになってしまったのである。
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「あら、これはどういう状況?」
しばらくして通りかかった黒闇夜叉隊のレイカは、一面の雪と広場の真ん中で楽しそうに大量の雪だるまを作る2人の姿を見ていた。
違う道では赤炎鳳凰隊のジェイド、白光天照隊のまりーも驚いていた。
「れーちゃん…w まあ楽しそうならいいかな。さて私は姫様探さなきゃ…」
「魔法生成された雪ならばなおのこと溶けにくいわ。これは後処理が大変そうね…。
ジェイド君、あの子達が遊び終わったら溶かしてほしいわ」
「僕ですか!?…え、この量溶かしたら僕の魔力もとける気が…。」
そんな遠くの声も露知らず、夢羽はすでに打ち解けたレインと楽しく雪だるまを作っていた。
勉強をしなくてはいけないことも忘れ…。
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