nana

【台本のような何か】終着点
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【其の一】 誰かと心を通わせて生きて行く、そんな必要がないとあの頃は思ってた 「その本面白いの?」 『誰かと会話してるよりはね』 「もー、またそういう事をいうー」 『事実なんだから仕方ないだろ?』 「ダメだよ少しは本でなく周りにめをむけないと」 『そのうちね』 「こんなに可愛いクラスメートに話しかけてもらえてて、本から目線すら逸らさないなんて普通ないわよ?」 『普通はそういう事を自分で言わないと思うよ?』 「事実だし」 こんな会話がこれから先も続くのだと、明日も変わらないのだと、どうして僕は思い上がってしまったんだろうか? ーーーーーー【其の二】ーーー それはあまりに突然の事だった、彼女らしいと言えばらしいのだけれど… 「ねぇ」 『今日は早いねどうしたの?』 「私が恋人になってあげるよ」 『今日は早いねどうしたの?』 「こらこら、話を逸らさないの」 『今日ははやいn…』 「くどいよ?」 『いやあまりに突然だったからさ、正気?』 「学校一の美少女に告白されて声色ひとつ変わらないとは…」 『そうでもないよ、心臓はばくばく言ってるもの』 「で?答えはどうなのかな?」 その悪戯な笑顔が僕は好きだった、この後もこの笑顔に随分読書の邪魔をされる事になるのだけど… ーーー【其の三】ーー やり直したい日は後にも先にもこの日だけだろう、選択の先に沢山の運命があるといのなら、僕はその選択を間違えたんだ。 「やあやあ彼氏くん」 『なんだい彼女さん』 「えっとね…私ね、実は周りn…」 『呼んでみただけなんでしょ?』(被せて) 「え、あぁ、あはは、バレた?」 『そりゃあ毎日きいてるもの』 僕がちゃんと周りに目を向けていたら 君の顔を見ていたら、変化に気づいていたら 後悔しか出てこなかった ーーーー【其の四】ーーーーーー 夜中にふと目が覚めた 何気なくテレビをつけると彼女の名前が出ていた。 昨夜、ストーカーに刺殺されたと言う 全身の細胞が開いて変な汗が出てきた なぜ?どうして?放課後まで笑ってたじゃないか… ふと思い出す、言いづらそうに呼んでいた事 それは2ヶ月の間ずっと繰り返されていた。 最後には呼んで見ただけだと笑っていた。 それは言い出せなかった言葉の終着点だったんだ。 僕はなんてバカなんだ 僕はなんで…

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