§幻想舞踏会§ 第十話~試合開始・蘇芳の間編~
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§幻想舞踏会§ 第十話~試合開始・蘇芳の間編~
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第十話~試合開始・蘇芳の間編~
※ファンタジー要素がかなり濃いめです。
苦手な方はスルーでお願い致します。
試合の中でも特に印象的だった試合又はシーンをストーリー調に編集しました。
水色の間の試合開始と同時刻に、
蘇芳の間でも試合が始まった。
蘇芳の間では二つの異なる思惑が交差していた。
~~~
後半追い上げ型の為に編成したにも関わらず、
第一試合・第二試合と制した黒闇夜叉隊は、相手チームも同じ考えで後半に勝算の高い隊士を配置しているのかと思い
戦略がカブってしまったのではないかと相手の第三試合出場隊士を待っていた。
そして現れた第三試合の赤炎鳳凰隊の隊士を見たとたん、全員が驚愕した。
赤炎鳳凰隊は、隊内での実力
No.1である隊長ていなんと
No.2であるジェイドが
第三試合コラボ戦として出てきたのである。
―…時はさか戻り、試合が予告されたその日の午後
赤の拠点島では、隊長であるていなんの指示が出されていた。
「コラボは僕とジェイドくんでいこう。」
「…よろしいのですか?」
ていなんの指示に魔道騎士でもある隊士達は耳を傾ける。
「今回は『勝ち』は狙わない。」
「狙わない?」
「うん、そのかわり楽しむこと。これ命令。
初戦は負けてもいいから♪
だって相手の事なにも知らないし(笑)」
ていなんは笑顔で答えた。
「そのかわり、僕とジェイドくんでコラボは最高の作品を示そう!
そんでもって突き放してやろーじゃん?」
そう、赤炎鳳凰隊は勝ちに拘らないバトルをすると最初から決めていたのであった。
勝ちにはこだわらず全力で楽しむ。
赤炎鳳凰隊の戦略はそれだけだったのだ。
~~~
第三試合が始まった。
春華とカンカンは手をつなぎ、歌を紡ぎだす。
―…君の声を聞かせて さあ冒険してみない?
楽しい事始めよう♪…
二人の足元の影が揺れ出すとその影は質量をもちながら膨らみだし黒い塊を作り出した。
春華の影の塊は、巨大な布切りバサミへ
カンカンの影の塊はマネキンへと姿を変えた。
マネキンはハサミを手にとると、攻撃の構えを見せ、標準をていなんとジェイドえと合わせた。
「…いくよジェイド。」
「ていなん様のおおせのままに。」
―…のらりくらり歩き回りたどり着いた祈り
君が今も生きてるなら 応えてくれ僕に!…
ていなんの歌声は真っ赤に燃えあがえる一枚の右翼に、
ジェイドの歌声は激しく火花散る一枚の左翼へとなる。
二つの翼が空へと羽ばたいたと思うと、一対となり
一羽の美しき火の鳥が現れた。
闘技場内の気温が一気に上がり出す。
マネキンはハサミを槍のように構え、宙を舞う火の鳥に向けて投擲した。
火の鳥は胸を膨らませたかと思うと、嘴を大きく開き深紅の炎を吐き出した。
吐き出された炎は渦を巻き、飛んでくるハサミを飲み込むと、そのまま勢いを崩さずにマネキンをも包み込み火の海を作り出した。
影をも作らせないほどの眩しい炎が、勝敗を示していた。
宝石が七色に光り、闘技場の上空に文字を映し出す。
第三試合
勝者、
赤炎鳳凰隊 ていなん・jadeペア
然しながら、第四試合は黒闇夜叉隊に負けてしまい、赤炎鳳凰隊の初戦は黒星となった。
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試合を終えた黒闇夜叉隊隊長である、レイカは広場に来ていた。
もう一つの試合である【水色の間】の戦況を確認する為である。
(次の試合も準備しつつ、次のシーズンの新作のアクセとトップスのデザインを考えなくちゃ…)
そんな事を考えながら歩いていると、
「あ、レイカさーん!」
「レイカ様もいかがですか?」
レイカを呼ぶ二つの声に気が付き顔を上げると、
白光天照隊の隊長、光姫と
黄晶麒麟隊の隊長、朱がベンチに座っていた。
「こんにちは、何かお楽しみ?」
「ほらほら、アソコアソコ!」
促されるまま指を差す方を見ると…
「ほぉら!ほらぁ!あなたも魔法クラブ一員なのだから変態道に連れてって差し上げてよ!?」
黄晶麒麟隊の雪季が甲高い声をあげている。
「もふもふいいなぁ♪雪ちゃん、この子飼って良い?」
そんなセリフと共に首輪とリードを手にしているのは、黒闇夜叉隊の春華だった。
「だ、誰か助け…!ぅわあ~!!」
そんな2人から必死に逃げているのは、ピカ○ュウ…
ではなく、黄晶麒麟隊の珀斗である。
「あそこで面白い事が繰り広げられてるので楽しんでましたの♪」
「ああ…うちのスタッフが本性現してるわね…。」
「私の隊の変た…隊士が申し訳ありません…。」
三隊長は白光天照隊のみぃが淹れたコーヒーとミルクティを片手に、
その喜劇(内一名は悲劇)を見守った。
「私がロックオンした相手はもう変態の隊士…もと変態士へ引きずりこむ決定よ?はぁくん♡」
「やだー!ノーマルでいたい!!」
「可愛いなぁ、監禁したいなぁ…。雪ちゃんこの子ほしい!」
「え!なんで!?」
「オホホホ!私のクラブで一緒に魔法の研究と練磨を楽しみましょう?」
「なんで!この声聞こえないの!?」
「ピカピカ鳴いて可愛いなあぁ、モフモフさせて♡」
「ピカーーーーー!!!?」
…
「いやぁ…黄隊の方はキャラ濃いですねぇ~。」
「わ、わんぱくでもいい…たくましく育ってくれれば…。
…がんばれはーちゃん…。」
「わんぱくすぎて色んな隊士に毒牙が及びそうよアレ。」
「ほんと私の隊士がすみません…。」
光姫はケラケラ笑い、レイカはため息交じりに見守り、
朱は苦笑いしかできなかった。
そんな声を感知したのか、雪季がぐるんと首をこちらに向ける。
「さあ!隊長達も!私が導いて差し上げます!
ぜひその素晴らしい魔法を!我がクラブへ!!!」
そう言って、まさかの三隊長に向けて雪季は飛びかかってきた。
「ちょ!こら!他国の御偉い様方はだめ!!」
朱が叫ぶのも時すでに遅く、雪季は頭からベンチに突っ込んできた。
衝撃音と砂埃が舞い上がる中、雪季はレイカと光姫の腕を掴んでいた
…はずだった。
「残念、それは残像です。」
「それは残像よ。…服に土埃が…。」
「残念それは残ぞ((以下略」
背後に立つ三人は、既に回避していた。
「くっ…やりますね!さすがは隊長格…!
しかし二度も同じ手h((
雪季が体制を立て直そうとしたとき、
雪季は重力を無視して真横に吹っ飛んだ。
「…ふぅ、間に合った…」
蹴りの勢いを静めながら片足でバランスをとるキャンの姿がそこにあった。
「すみません、うちの変態魔法オタクがご迷惑をおかけしました。」
「かんちゃーん!泣」
ピカチュウがキャンに泣きすがる。
茂みに突っ込んだ雪季が、とび出してきた。
全くのノーダメージである。流石は変((
「ちょっと!かんきゃん!酷いじゃないのよ!
どこのア○ント!?
絶命寸前の戦闘民族○兎族なの!?」
「やかましい!ほら!ハウス!!」
そういうと雪季の首根っこを鷲掴みにし、ズルズルと引きずって行った。
「光姫様~!レイカ様~!あきらめませんからねぇ~!」
こうして雪季はキャンによって連れて行かれ、
ピカチュウは春華にもてあそばれつつ連れて行かれた。
…
「…いや~~~、ほんと黄隊は濃いねぇ…。」
「凄いわね。とりあえず春華にうちはペット禁止なこと伝えてこなきゃ。」
「なんか…もう…本当…すみません…。」
この後もしばらく、ピカチュウの心からの叫びが聞こえ続けたという。。。
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