nana

始発とカフカ
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伝えたいことしかないのに 何も声が出なくてごめんね 僕は毒虫になった そんなに興味もないと思うけどさ 時間が惜しいので 今度は手紙をしたためるとしようか 不甲斐ない一日を 今日も始発の便に乗って 見返すには歩くしかないのに 上手く足が出なくてごめんね アベリアが咲いている 眼下の街を眺めている 窓の桟の酷く小さな 羽虫を掬って押し潰した 初夏の風に靡いた 白花が今日も綺麗だった 教科書にさえ 載っていない心情は 今日が愛おしいようで 誰かがつまづいたって 死んだふり 僕らは はら はら はら はら 心を知って征く 今更 ただ、ただ、ただ、ただ 花を摘まんでいる あなたは カラカラ カラカラ 遠くを歩いて征く 震えた言葉で書くまま 紙が終わっていく

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