nana

ヒトリシズカ
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部屋の片隅(かたすみ)で容易(ようい)な刃(やいば)に触(ふ)れて 滴(したた)る血を眺(なが)めていた ヒトリシズカ 緋色(ひいろ)の記憶にすがり 泣いていた 孤独(こどく)を嫌うこととは違う 歪(いびつ)な隙間(すきま)怖いだけ 慣れぬ暗闇 肌に雫(しずく)ひとつ 血か涙かさえ わからない グシャグシャの汚れゆく私に 鮮(あざ)やかな思い出が胸を刺していく 部屋は冷たくて少し広くなり やがて この空間にも馴染(なじ)んで ヒトリシズカ 緋色の記憶も不意に 美しい思い出になる 濡れた床(ゆか)も朱(あか)く乾いてく日々に 時の流れは非常だ・・・と 泣き顔さえ醜(みにく)さを忘れ いつか感謝へと

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