nana

ひび割れた器の独り言
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わたしはただの群衆に過ぎない 識別名を失って ひっそりと言葉を抓れば その姿を再び探す事はきっと困難な 多勢の一つに過ぎないのに なぜ、わたしに幻を映すのか なぜ、わたしは再び庇護の手を差し伸べようとおこがましくも優しいふりをするのか 同じ事を繰り返して磨り減って、やがてまた深く閉じこもる闇と対峙するのだろうか? きっと似ているのだ。 あの不安定なおさなごが…救いを求め強がるふりが。わたしに似ているのだ 救うなどとおこがましく口走るが、その優しささえも自己満足に過ぎない独りよがりなエゴだ。 ひび割れた器に使い道などない。 愛の様に流れ落ちるものを受け止めようとすれば、すぐに飢え渇きより一層空白を感じるばかりだろう。 ならばわたしは如雨露になろう。掬い上げた自己満足な愛を他人事の様に振りまいて、誰かを支えたその一瞬に喜んで器の乾きを満たし生きよう いずれ皆きえてしまう。わたしも同様に…ならば、その時まで。

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