これはこれは遠い昔のお話。
何も満たされなかった男の話。
優れていると評価されたかった男の話。
「このカジノの秘密…知りたいですか?」
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私が生を受けた時、傍らには弟がいた。
弟は幼い頃から何でも出来た。
私に出来ないことは大抵出来たし、私が時間をかけて出来るようになったことも弟はすぐに出来るようになった。
両親は私が劣っているとか弟の方が優れているとか表立って言うことはなく、平等に愛を注いでくれていたと思う。
けれどだからこそ、自分自身が弟に劣っているという実感を、自分の中では強く感じるようになっていった。
劣るとも劣らないとも他者に判断されないということは際限なく自身を貶められるということ。
何より何でも出来てしまう弟はただただ私に親愛、いや敬愛だろうか?
私に対して負の念を抱えていないことが分かり、そんな弟に嫉妬心や僻みと近しい感情を抱く自分がとても汚い生き物のように感じられた。
何にも満たされない私はただ『欲』を貪った。
インキュバスである私は『欲』を喰らう。
だがどんな欲を喰らえども満たされない何かがあった。
それは弟への劣等感、満たされない承認欲求とどこか似ていた。
毎日毎日喰らえども喰らえども満たされない感情を抱えていた。
ふとある時、私は旅に出ることにした。
私を満たす『何か』がそこにあると信じて。
多くの国や世界を渡り、多くのものに触れてきた。
そうして最後に触れたのはとある国の「カジノ」というものだった。
そこには多くの人間達がおり勝利に喜びの笑みを浮かべるもの、敗北に悔しみ涙を流す者が大勢いた。
そこに溢れる色んな感情が混ざりあって出来た『欲』。
あらゆるものに飢えていた私はほんの出来心でその『欲』を口にした。
_____なんと、なんと美味なものなのだろう…っ!
多種多様に抱えている人間の欲の奥深さといったら…………
貪欲で強欲…ああ、なんと醜く醜悪で……
なんと甘美なる果実であろうか。______
その時私は初めて『満たされる』実感を知った。
人間の欲だけでこんなにも美味なものなのだ。
多種多様、もっと貪欲で強欲で欲の際限を知らぬ種族がいたとしたら……………
それはきっともっと醜く、美味で………『満たされる』のだろう。
私はよりもっと『満たされる』為に多種多様な種族が集うカジノ『JoKer CluB.』を立ち上げることにした。
どこから話を聞いたのか弟も副支配人として私を手伝うと言うでは無いか。
自分よりも優れている者が下につくとはなんと皮肉なものだろう。
しかし生まれて初めて弟よりも『上』の立場へと明確化されたことはとても気分が良く、優越感すら抱かせた。
私は弟のその申し出を受け入れることにした。
弟はやはり優秀で私よりも多くの仕事を完璧にこなす。
それに劣等感を抱かない日はない。
ただここでは私が『支配人』。
その弟を私の手中に納め、指先ひとつで従えるのは溜飲が下がる思いだ。
プレイヤーもディーラーも私を『支配人』として認めてくれる。
それだけでこれまで抱えていた満たされない承認欲求が満たされるような心地がした。
そして今日も多くの『お客様』が訪れる。
様々な『欲望』を胸に抱いて。
その欲を喰らい、私は満たされる。
ああ、なんて素晴らしい利害関係であろうか。
この心地良い場所を誰にも壊されてなるものか。
ようやく私が見つけた『満たされる』ものなのだから。
邪魔をする者は全て排除するだけ。
「ようこそ、JoKer Club.へ」
______『ようこそ我が胎内へ』______
♡♣♤♥♦♧♠♡♣♤♥♦♧♠♡♣♤♥♦♧♠♠♡♣♤♥♦♧♠♡
これはこれは遠い昔のお話。
今でもまだ満たされない男の話。
優れていると評価されたいと願う男の話。
「これでもまだゲームを求めるなんて…
貴方の『欲』、ぜひ味わってみたいものです。」
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