スターナイトスノウ
𝕚𝕕𝕖𝕒𝕝*𝕀𝕕𝕠𝕝𝕝*𝕡𝕣𝕠𝕛𝕖𝕔𝕥
スターナイトスノウ
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── 𝕀𝕗 𝕠𝕟𝕖 𝕕𝕒𝕪 𝕀 𝕔𝕣𝕪 𝕒𝕘𝕒𝕚𝕟…
❁𝕊𝕥𝕠𝕣𝕪❁
𝐼𝑓 𝑖𝑡 𝑤𝑒𝑟𝑒…𓈒𓂂𓏸
澄みきった冬の夜空は、どこまでも高く続いているような気がする。遠くまで手を伸ばせば、遥か彼方の宇宙の端が掴めそうな気がする。一年で一番、宇宙が近くなる季節。そんな冬の夜が、私は好きだった。これから先に何度繰り返すかも分からない、名前のないありふれた夜。それでも一番星に手を伸ばせば、特別になるような気がしたから。
「シノ、お待たせ」
それと、もうひとつ。ありふれた今日を、特別な一日にするための魔法。綺麗な雪色の長髪が、廃墟を吹き抜ける北風に靡く。この世界で一番大好きな親友──ユウハが、弾んだ足音を鳴らして駆けてきていた。大好きな人と、大好きな景色を見る。それ以上の幸せなんて世界のどこを探してもないんじゃないか。そんなことを考えて、私は微笑んだ。埃っぽい廃都市の匂いも、肌を刺すような冷気も、まったく気にならない。普段なら厭ったはずのものも寧ろ、幸せを形作る一ピースのように思えた。
「夜ごはん食べてたら、遅くなっちゃった。みんなは?」
いつものように明るく笑ったユウハが、私に向かってそう尋ねる。当たり前のように告げられたその疑問に、ほんの少しだけ胸がざわめくのが分かった。ユウハと私は、ミアたち四人と一緒にグループとして活動している。サクリファイスとの戦闘に備えてみんなで訓練をしよう、という話だったから、ユウハがみんなの到着を気にするのは当然なのに。ずっと二人で活動してきたから、「みんな」という言葉に違和感が拭えずにいるのだろうか。だけど、慣れない言葉を口にするくすぐったさじゃない。もっと嫌な感触の、不安とも言うべき何かだった。
「もうすぐ来るって、さっき連絡があったよ」
言葉にならない感覚を無視して、そう言葉を返す。聞こえた自分の声はいつもと違う響きをしていて、なぜだか素っ気なく聞こえた。自分でも分かったくらいだから、きっとユウハにも伝わったのだろう。僅かに首を傾げたユウハは、すぐに意地悪そうに笑った。
「もしかしてシノ、ちょっと妬いてる?」
告げられたその言葉に、心臓が止まったみたいな感覚を覚えた。ドクドクとくっきり鼓動が聞こえて、ユウハにも聞こえはしないかと不安になる。妬いてる。嫉妬している。シノが、ミアたちに。ユウハが、みんなの話をしたから。自分でも分からなかった感情が言語化されて、全身の血液が沸騰したかのように顔が熱くなった。そういうことなのかもしれない。今までは、ユウハのことを独り占めしていたから。六人で活動するようになって、大好きなユウハが遠くなったみたいで、寂しかったのかもしれない。だから、みんなのことを気遣ったユウハに対して胸がざわざわしたのかもしれない。妹弟にお母さんを取られて、不貞腐れる小さな子供みたいに。だとしたら、あまりに大人気ないヤキモチだ。何も言えずに押し黙っていると、楽しそうにユウハが笑った。
「そんな顔しなくていいよ。私にとって、一番大事なのはシノなんだから。ほら、手繋ご?」
子供をあやすみたいに、ユウハが私に向かって手を差し出す。心の中を全部見透かされているみたいで、なんだか気恥ずかしかった。一番大事なのは、シノなんだから。ユウハにとってはきっと何気ないその言葉が、宝物みたいに嬉しくて。片手の手袋を外して、シノは差し出された手を取った。お互いの手のひらをぴったりくっつけて、二人きりで星空を眺める。シノよりも冷たいユウハの手の温度が嬉しくて、冬の星に共鳴して鼓動が高鳴った。
どこまでも遠い冬の空には、いつの間にか淡雪がちらちらと舞い始めている。夜の始まりを彩る、美しい白。私の一番好きな色。それがあまりに綺麗だったから、遠くの星からの贈り物みたいだな、なんてことを考えた。子供っぽい空想だけど、ユウハなら聞いてくれる気がして。ねえ、ユウハ。子供みたいな小さな思いつきを、口にしようと振り返って。
──そこで、目が覚めた。
悴んだ手に息を吹きかけ、ベッドから身を起こす。さっきまで見ていた景色が遠のいて、儚い雪のように消えていく。どんな夢を見ていたんだろう。何も思い出せないけれど、ひとりぼっちの冬の夜みたいな寂寥だけが残っていた。覚えていないのなら、きっと些細なこと。思い出さなくてもいいようなこと。なのに、とても大切な何かを、零してしまったような気がした。
❀𝕎𝕣𝕚𝕥𝕖𝕣
Yuz*(@Citlisamusic)
❁ℂ𝕒𝕤𝕥❁
🍬ミア・フィオリーレ
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❁𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔𝕤❁
🍬📚また冬が来るたびにほら大人になるのさ
🌟🔥雪を手に何を作ろうかって震えた声
☂️🍀星の降る街をうつむいて歩く
🫧いつかまた泣くならば笑って
🍀笑って
❀Starlight Stage いつのまにか
今日が今日じゃなくなってったって
🍀🫧吐いた息はほら 僕ら生きているんだ
❀積もっていく想い出がずっと何年も重なって
地球を覆うまできっと愛を歌うよ
Lalala…
❁𝕊𝕡𝕖𝕔𝕚𝕒𝕝 𝕋𝕙𝕒𝕟𝕜𝕤❁
❀𝕀𝕟𝕤𝕥𝕣𝕦𝕞𝕖𝕟𝕥
off vocal音源を本家様からお借りしました。
https://piapro.jp/t/TyvX
❁𝕋𝕒𝕘❁
#ideal_Idoll_project
#ミア_フィオリーレ #レイラ_カーティス #フウカ_フィデス #ハレリ_フィデス #シノ_オーリム #ユウハ_ディアス #精霊_共和国
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