黒い月の遊戯 -序曲-
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黒い月の遊戯 -序曲-
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▶▶黒い月が見てる
今となってはおぼろげな記憶しか残っていないが、幼い頃は幸せだったと思う。優しい父親と母親に囲まれて何不自由なく暮らしていた。
ある日、両親とお茶を飲んでいるとちょっとした不注意で母親がカップをテーブルから落としてしまった。けれどそれは母親のお気に入りのカップだったので、彼女は咄嗟に落ちて欲しくないと願った。するとカップは空中でぴたりと止まったのだ。
「こ、これは……!?」
「まさか魔法?貴女……魔女だったの!?」
両親は目を丸くしていたが、彼女は母親の大切なものを守れたことに満足していた。……でもその日から彼女の生活はがらりと変わってしまった。
「これは貴女のためなの」
「魔女がいると知られたらどんな目にあうか……」
彼女の部屋は日当たりのいい部屋から地下になり、外に出ることは禁じられてしまった。毎日来てくれたはずの両親は次第にやって来なくなり、運ばれてくる食事も途絶えてしまった。
彼女にとっては不思議なことに、けれど魔女にとっては当たり前のことに、彼女の命はそれでも途絶えることはなかった。天井から滴る雨水を集め、荒れ果てた地下牢の隅に生える木の実を食べて生き延びた。
もちろん美味しいお菓子が恋しくはあったけれど、一番こたえたのは暗くて寂しい部屋自体だった。でもいつかは両親が迎えに来て抱きしめてくれる。そんな思いを抱きながら待ち続けて待ち続けて……
そして、ある日もう両親は来ないと気付いた。
だからなんの運命のいたずらか、白き月の夜に歪んだ空間の向こう側──白い月の裏側を覗き込んだ時どうしても欲しくなったのだ。自分と同じはずの彼女にたくさんのお友達がいるのなら、自分とだってお友達になってくれていいはずだ。
だからこの宴を自分のものに……奪ってしまおう。
微笑んだ彼女の目は真っ黒な虚ろな月のようだった。
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「黒い月の遊戯」
Can you hear? Can you see?
Why are you frightened with a sadness?
怖がらずに楽しもうよ?
Come with me, follow me
Let's play in my forest forever...
黒い月が綺麗
キラリキラリ冷たい涙も
強い風に消されてゆく
ゆらりゆらり後ずさりをしても
帰る道はないの
Can you hear? Can you see?
Why are you frightened with a sadness?
怖がらずに楽しもうよ?
Come with me, follow me
Let's play in my forest forever...
黒い月が見てる
☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽
☪︎素敵な伴奏ありがとうございました☪︎
ともり様
https://nana-music.com/sounds/02531089
☪︎ 𝕋𝕒𝕘 ☪︎
#魔女リュヌ?
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