吸血鬼は眠る
古鷹 侑
吸血鬼は眠る
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──何も聞かずに詩わせてくれ。何も言わずに聞いてくれ。
魔王と呼ばれて久しい彼だけど、僕にとっては吸血鬼でした──。
BGM、お借りしました。
曲名:亡き王女のためのパヴァーヌ/ラヴェル
奏者:蒼井まち様
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ザァッと一陣風が吹いた
氷点下を下回る様な凍える風
まだ拾月、朝陽が昇り数時間経つ
違和感を覚えたが再び歩を進める
午後参時、突然来た速報
携帯を出そうとする手が震えた
その通知を確認した瞬間
強烈な悪寒が全身を駆け抜ける
昔友人に言ったことがある
あれだけ美しいのであれば
実は吸血鬼の末裔で
百年後も生きているのでは?と
彼の眼が最期に映したものは
果たしてステージだったのか
ファンの顔だったのか
それは誰にもわからない
吸血鬼は安らかに眠る
忘れはしないだろう
数多の耳を魅了した歌声を
この胸の中にずっと
吸血鬼は安らかに眠る
忘れはしないだろう
彼の描いた詩の世界たちを
この胸の中にずっと
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
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