🎪 最低で最高な相棒さ 🎭
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episode IS-ⅩⅣ『未来』
午前八時。鳴り止まない目覚ましアラームは、寝室の方から響いてくる。
「またか……」
フライパンのスクランブルエッグを皿に移す手を止めて、顔をしかめつつ音の発信地へと向かう。こざっぱりとしたシンプルな寝室の中で、シーツに埋もれた赤毛は一際鮮やかだった。
「ダニエラさん、いい加減起きてください。これで三度目だ」
「んん……あと十分……」
「デート」
耳元でぼそりとそう呟くと、今までの防御が嘘のように、彼女は勢いよく飛び上がった。
「いっけない! そうだったわね! すぐ準備するから待ってて!」
寝起きとは思えないハキハキとした声を浴びせる彼女に若干気圧されながらも、伝えるべきことはしっかりと伝える。
「あの、朝ごはん出来てますけど」
「やだ私としたことが!もちろん頂くわ!」
目にも止まらぬ早さで踵を返し、彼女はダイニングテーブルへと駆けていく。本当にいつ何時も騒がしくて、だらしが無くて、けれど愛らしい人だと思った。スクランブルエッグがある!とはしゃぐ声を聞きながら、自らも口元に笑みを浮かべ、彼女の元へと向かう。寝癖がついていても艶があり美しい髪に、そっと手を伸ばした────
ところで、目が覚めた。
いつもと変わらぬ簡素な自室の、無機質な天井。ああ、と口から息が漏れる。一体今の夢は何だったのだろう。望んでいる未来、なんて浮ついた答えは、すぐ様葬り去った。
スーは若干の動揺を残しつつも、つとめて冷静に身支度を終え部屋を後にした。いつも通り裏道をぬけ、いつも通り彼女の元へ。艶やかなその人は、変わらぬ笑顔で手招きをしていた。
「あら、今日は少し顔色が悪いわね。嫌な夢でも見た?」
開口一番そう尋ねられ、スーは一瞬言葉を詰まらせた。無表情を装っていたはずなのに、彼女には全てお見通しだった。途端脳裏に蘇るのは、白いシーツと跳ねた赤髪。忍び寄る背徳感を押し殺しながら、スーはふいっと視線を逸らす。
「悪夢を見ました」
「えっ! 君が悪夢って言うくらいだから、きっと最悪ね。ねえ、どんな夢だったの? 私にも教えてよ」
「嫌です。口に出すのもはばかられる程、とんでもない悪夢なので」
「その様子だと……相当ね」
彼女はごくりと喉を鳴らして眉を潜めている。もし本当のことを言ったとしたら、その顔は今度はどんな風に歪むだろうか。考えたくも無かった。
「ま、飲んで忘れちゃいなさいな」
そういうが早いか、彼女はスーの手を取って歩き出す。冷たい手のひらは存外心地よくて、この距離をいつまでも保っていたくて。
本当のことを言わなくて良かったと、心底安堵したのだった。
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〖LYRIC〗
👾ねえねえ この世界を どっかでひっくり返したくて
せいぜい 時間なんてありはしないが
🎈まあまあ そんなんで少年少女揃いまして
唸り始めた会心劇さ
👾天才で人外で横暴な
🎈最低で最高な相棒さ
👾単純で明快な考えが
🎈僕をここで醒ましてくれないか
👾🎈今この身をもって重石をとって
君にだけにしかできない事はなんだ
🎈ここにいないでくれ
慰めなんていらないよ
👾🎈荒地になってしまわぬように
その名を隠して ここに現れたのさ
のさばってる奴らを
🎈探って👾抉って
🎈嗤っては泣いて
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〖CAST〗
🎈ダン(cv:二藍つばさ)
https://nana-music.com/users/1665291
👾スー(cv:くらげ∞)
https://nana-music.com/users/1819852
〖IMAGE CREATION〗
日向ひなの
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〖episode IS PLAYLIST〗
https://nana-music.com/playlists/4012716
#CIRCUS_IS #アウトサイダー #Eve
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