毒吐く

葵木ゴウ

張り裂けた僕の自尊心と音楽を繋ぐ全ての人々へ。 魂の一発撮り。 途中で足元にあった袋を蹴ってしまったノイズも残し、水分を取った音も残し。調節もせず、エフェクトもかけず、撮り分けもせず。 言葉で伝えられない、僕の葛藤を全て。 大事な大事な曲だからこそ、今だけの僕の温度が正しく届くことに期待をして、言の片鱗を添えます。 本家：https://youtu.be/NWicp-4RP14 ここんとこずっと満たされない 依然、創作も振るわない ここが居場所なんて信じない 朝はまだ来ない 綴る言葉は毒になれども薬にはならない 「続ける意味がない」 過らなかった日はない 流行りの音楽が聴けない 比べて卑下してが止まない 「多分、僕はもう音楽が好きじゃない」 それを吐き出す術は音楽しか知らない だから またこうして歌に縋って愚かな"毒"を吐いた 月夜の下、尚更無様だ どんな言葉を歌ったらこんな僕とさよならできんだ 答えが出るまで止まぬ独白 悩みに贅沢もクソもない 当事者以外知り得ない傷の痛みに優劣はない 暗示は絶え間ない 日陰じゃ涙は乾かない 涙じゃ花なんて芽吹かない 「明かりの射さない人生に価値はない」 そんなのは信じない 信じていいわけない だけど 僕が歌った歌でくらいは主役で在りたかった スポットライトは誘蛾灯でいいから かつて純粋を極めた僕は焦燥の餌になった 綺麗な言葉も今や吐瀉物 時に創作は自傷行為 と同時に自分を定義するただ一つの武器 諸刃の剣でこれを〝歌ってる〟 「まだだ、まだだ」って息も絶え絶え なのに またこうして傷を抉って恥ずべき自分を吐いた それが僕の価値になるのなら どんな醜態晒しても歌い続けるほかないんだろうな これは死ぬまで続く束縛 答えが出るまで止まぬ独白 これを聴いてくれたあなたが まだ純粋なあなたが 僕みたいにならぬようにと願って止まない #可不 #毒吐く #葵木ゴウ #拍手返します #白に溺れた初夏の花 葵木ゴウさんのこの歌は、僕にとっての指標。 「時に創作は、自傷行為」 「と同時に僕を定義する　ただ一つの武器」 これほど迄に、痛い共感覚初めてだった。 可愛い声、格好良い声、腐るほど沢山聞いた。 その度に、自分には何も無いのだと思った。 悔しかった。悔しかった。 全部が普通だった。 個性の無い声質、音域も狭くて、安定しない音、歌い方も普通、癖もなければ良さも無い。 喘息持ちだし気管支も弱いから、息も続かないし、咳も度々出て。録音どころでは無かった。 それが最初の僕。 天性のものは何も無かった。 音感もない、リズム感もない、音符も読めない、可愛い声もない、声質も変えられない、歌声を揺らすことも、ラップだって、巻き舌だって何も、何も出来なかった。 自分には、声の才能がないと思った。 自分には、歌の才能がないと思った。 人を動かす歌を、歌えない事を知った。 誰かの為に届けるような言葉は紡げないと知った。 歌うのを辞めたら、こんな劣等感も抱かずに 生きていけた筈だ。 批判も、離別も、知らなくて済んだ筈だ。 だけれども、嫌いになれなかった。 だけれども、歌わないなんて出来なかった。 自分には、何がある？ 僕は今まで、好きだと思う気持ちだけで歌ってきて、自分の音楽性が正統派じゃないことも分かってた。 単純に上手い人を見ては、声が良い人を聞いては、その度に音楽を嫌った。 その度に自分は歌詞の意味を考えた。 メロディーの意味を考えた。 自分に覚えのある感情と擦り合わせ、 頭に浮かぶシーンを、出来得る限りの再現をした。 何でもかんでも歌に結び付けて考え続けた。 一つでも多く、取り溢さぬように。 誰よりも考えて、誰よりも音に恋している。 それだけしか、取り柄がない。 どうしても、音楽を諦めたくなかった。 矛盾だらけの自分を抱えたまま歌い続けてきて早数年、聞いてくれるみんながいて、自分はこのままやってきてよかったとも、僕の音を耳障りだと言った名も知らぬあの人たちのために辞めていればよかった、とも思う。 正解が無い世界に身を置いて、自分の武器をあれこれ品定めして、原石から。 あの時、僕にキツい言葉をくれた人たち。 その批判の声に、僕は自尊心を削られ、研磨されていく。 あの批判さえも、僕の音楽だった。 でもそれは結果論。 辛いに変わりない。 変わりなくとも、今は。 僕に時間をくれてありがとう。とも。 でも、素直な肯定だけで生きていけるほど、自信はない。 何に成りたくてここまで必死に、 這いつくばってきたんだろう。 誰かの音楽に、成りたかった。 一個人として区別されること。 唯一の世界に成りたかった。 〝生きている〟と叫びたい！ ただ、それだけ。 曲という土台の上に、自分の足で立てる力が欲しかった。 そんな幼稚な想いだけで只管研鑽してきた。 喉が切れても、それでも、好き。 生きたい。生きる事に理由がいるのか？ 理由を探すために生きてる、の方がしっくりくる。 何も持って無かったから、何からでも始められた。 趣味なんて言葉では収まらない、 激情だけで目に入るもの、耳に入るもの全てを。 魅入られたように、今でも音楽に取り憑かれている。 君は僕の歌をどう思う？ 醜いかな。 それでも、僕には僕の全ての音が 今までを生きてきた証。 なので、僕の歌が醜くとも醜くなくとも、 どちらでも良いんだ。 君の中に僕の音が生きた証明になるので。 誰かの感情を動かすなんてこと。 僕にはきっと、まだまだ出来ない事なんだろう。 でも、いつか君を支える歌になりたいよ。 苦しい、楽しい、何でも。 君の中に在る感情の一部を、形成してみたい。 でも、これを聞いてくれたあなたが。 意志を継いでくれる誰かが、誰かを変える。 そんな事があったら、僕は幸せだ。 多方向からの思惑に曲解を余儀無くされた今世。 不本意に歪められた不自由を自由だと錯覚させられている今の世の中で、絶えず流れ続ける誰かの気持ちは。 君にとってどんな歌だろう。 何を考えて歌っている？ 何を感じて録音してる？ 何を伝えたくて歌う？ 何を載せて見た？ 何を昇華して落とし込んだ？ 歌はあなたにとってどういうもの？ あなたは歌に何を求めてる？ そもそも歌は好きか？ そもそも音楽は好きか？ 音楽に救われた事はあるか？ 救ってくれるだけが音楽か？ 苦しいだけが音楽か？ 悲しいだけが音楽か？ 楽しいだけが音楽か？ 自分に実力がないと分かっても音楽が好きか？ 創作が出来なくても、愛していられるか？ 思い通りに行かない音流に飛び込む勇気はあるか？ 批判も余す事なく受け入れるか？ どんな時も音楽が好きなのか？ 好きでいる努力を怠らないか？ 音楽が無くても、生きていけるか？ どれか一つでも良い、誰かがこの後に考えてくれる事を切に願う。 偉そうに聞こえるかもしれないけれど、 ただ願うくらいは許されるでしょ。 誰かが考えた軌跡に、また違う誰かの温度が乗る。 それが道になって半永久的に続いていく。 僕たちもそう在れると幸せだと思う。 でも、勘違いしないで欲しい。 これは「願い」であって、「強制」じゃない。 最近はこの区別が誤解されるようになったと思う。 考えなくても考えてもそれはそれで正解。 それが良いじゃないか。 この意味が正しく届く事をまた、願う。 何でもそうだけど、押し付けにならないラインは難しい。 知ってくれるだけで良い。 僕が音楽に賭けてきたものたち。 僕を作るアイデアと日本語たちをね。 これ「は」良い、なのか、これ「で」良い。なのか。 そんな微かな日本語に苦しんで生きてきた僕の言語感覚。 僕が彼からの言葉を考えたように、君が僕の言葉で何かを掴むかもしれない切欠になるように。 自由に操れない音に苦しむ誰かに。 どんな時も、音楽が消えない世界であるように。 愛する旋律達が、これからも側にありますように。 だけれども、ある人には気持ち悪いとまで言われた 僕の歌に対する激情を。 「これを聞いてくれたあなたが、 　僕みたいにならぬようにと願ってやまない」