悪役にキスシーンを
秋羅(cv.nera)
悪役にキスシーンを
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「…………どういうことですかこれは。」
一方こちらはもう一つの部屋。
3人の人間が白い空間に横たわっていた。
目を覚ませば記憶の抜け落ちた頭が混乱を煽る。
と、言っても今目を開いているのはたったひとりで、あとの2人はまだ夢の中のようだった。
起こすべきか考えあぐねているとひとりが目を覚ます。
「ん〜〜!よく寝た〜〜!!」
やたらと元気がいい。
相手が何者か分からない以上記憶の無い状態でほかの人間に話しかけるのはリスクがあるが、情報を得るためには仕方がない。そう決心し声を掛ける。
「あなたは?」
「ん?ボク?夏那だよ、あんたは?」
「……秋羅と言います。あなたはここで何をしているんですか?」
平静を装いそう話す。自分と同じように倒れていたところを見ると被害者のひとりか?とも思うがまだ分からない。とりあえず無難な質問を投げてみる。
「しらなーい。なーんにも覚えてないし。」
いきなり危害を与えてくるような相手でなくてよかったと安堵するが、どこか掴みどころのない話し方に警戒を解く気にはならない。
「そうですか。もう一人は……寝ていますね」
そうやって地べたに寝そべるもう一人を見つめるとよくそんなにぐっすり眠れるなと感心か呆れか分からない気持ちが湧き上がってくる。
「ほんとだ。ね〜〜おきろよ〜〜!
お喋りしよーよー!」
ゆさゆさと寝ている人を起こす。
すると小さな唸り声が聞こえたと思ったその時
……突然人がひとり大きく宙を舞った。
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