Ending -GoodEnd-
箱庭の遊戯
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「ほいっと〜本領発揮…かなぁ!」
タンッと軽い音を立てて着地するマスター…もといアスクレピオス。
手には赫い、紅い、血赤色の液体が入った小瓶。
メデューサと対峙した者なら分かるだろう。
あの小瓶の中身はメデューサの血だと。
彼は小瓶を開け、実験だと言わんばかりの楽しげな表情で一滴地面に垂らす。
その血は地面につくとジュッと液体だとは思えない音を立ててその地面を殺した。
「うわぁ…相変わらずの威力だ」
声のわりには楽しげな表情。
そしてその小瓶の中身を弱っているヒドラにぶちまける。
『Gya……Gyaaaaaaaaaaaaaaa……』
ジュゥ…と焼けるような音の中。
だんだんと咆哮が小さくなり、バタリとヒドラが倒れた。
「…毒をもって毒を制す。ってやつかなぁ?」
パチンと指を鳴らし次は灰色の部屋。
「さて…お疲れ様〜これで終わり。箱庭ノ遊戯…いかがでしたか?僕は楽しかった。みんなが右往左往してるのを見るのが…コホン。」
「とにかく、僕は楽しかったよ?これで…僕の担う箱庭が少し楽になった。ま、1番の問題はヒドラとメデューサだったんだけどね」
「だって彼ら、僕が倒したらダメだしぃ?きちんと人間が倒さないとなんだよねぇ…めんどくさい」
「あぁヒュドラーは僕がとどめ入れてたじゃないかって?ヒュドラーはいいんだよ。あれが正当法だ」
「あぁそうだ。何人かしか分からないかもしれないけど…サッちゃん治ったよ」
「会いたいなら多分会えると思う。喋れるようにもなってるみたいだし」
「まぁさっき治してきたところだからいろいろ危ないんだけどねぇ…」
「ま、そんなことはおいといて、とりあえず僕の持つ“箱庭”の問題は粗方解決しました〜ありがとうね?助かった助かった」
「さて…君達はこれから“元の世界”に戻るが………何人が自室に、元いた場所に戻ってるだろうね?」
「僕は…いや、僕等は君達の意識を刈りとって箱庭に留めていた。元の世界での君達は意識不明…だったかもしれない」
「昼夜場所問わずに意識刈り取ってるし…なんなら何時間、何日間、何ヶ月間意識が無かったのかは人それぞれだ」
「ま、僕には関係ないしそこは個人で調べてくださいな?僕等神様に時間感覚なんて無いようなものだからね」
「この箱庭と君らの世界の時間の進み方は全く別だ。細かくどれくらいとは言えないが…こちらの方が時間の進み方が早い、とだけ言っておこう」
「僕も君たちのおかげで大半の力使っちゃってるしこれからしばらくサボっても怒られなさそ〜そこは感謝しとくよ」
「…長く喋りすぎた、かな」
「さて、君たちにはいろいろ助けてもらった。これは長老者からの助言だ、聞き流してもらって構わない」
「“真実を忘れるな”」
その言葉と同時に視界が白く染まり──
気づけば見慣れた仲間はおらず、元の世界に戻っていた。
各々の場所へ。
それは病室かもしれない。
それは保健室かもしれない。
それは自室かもしれない。
それは教室かもしれない。
それは会社かもしれない。
それは見慣れた道かもしれない。
外の喧騒がうるさく感じられるこの世界に、地球に戻ってきたことを貴方達は実感したことでしょう。
あの箱庭での記憶はいつか消える。
そうどこかで感じながら。
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