あの夏が飽和する(最終)
カンザキイオリ
あの夏が飽和する(最終)
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#あの夏が飽和する #カンザキイオリ
宛ても無く彷徨う蝉の群れに
水も無くなり揺れ出す視界に
迫り狂う鬼たちの怒号に
バカみたいにはしゃぎあい
ふと君はナイフをとった。
「君が今までそばにいたからここまでこれたんだ。
だからもういいよ。もういいよ。
死ぬのは私一人でいいよ。」
そして君は首を切った。
まるで何かの映画のワンシーンだ。
白昼夢を見ている気がした。
気づけば僕は捕まって。
君がどこにも見つからなくって。
君だけがどこにもいなくって。
そして時は過ぎて言った。
ただ暑い暑い日が過ぎてった。
家族もクラスの奴らもいるのに
なぜか君だけはどこにもいない。
あの夏の日を思い出す。
僕は今も今でも歌ってる。
君をずっと探しているんだ。
君に言いたいことがあるんだ。
9月の終わりにくしゃみして
6月の匂いを繰り返す。
君の笑顔は、君の無邪気さは、頭の中を飽和している。
誰も何も悪くないよ。
君は何も悪くはないから、もういいよ、投げ出してしまおう。
そう言って欲しかったのだろう?なあ?
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