バレリーコ
みきとP
🎼 目と目を合わせて 戸惑うフリした 🎹 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 🎼 Viva la Orquesta !! 🎹 第六幕『楽団美人四姉妹』第一楽章 古都メイドゥールは、ひとたびその中に入れば息を呑まない者はいないほど美しい街並みが有名である。レクトール一行は、石畳を歩きながらも、各々街の風景に酔いしれていた。 と、その時、どこからともなく可憐な音色が響いてきた。楽譜の形に戻ったオルケスタが、音に誘われるようにパタパタと道を進んでいく。 『弦楽器の音する! こっち!』 「あはは、あまり急かさないでくれよ」 レクトールは笑って皆を先導する。先程この街に感じた奇妙な胸騒ぎは、気のせいだったのかもしれない。不安を押し殺し、彼は音の方向へと駆け足で向かっていった。 オルケスタが止まった先には、二人の少女がいた。ヴァイオリンとヴィオラを手にした少女たちは、たった二人の演奏とは思えないほどに豊かな音色を生み出している。気づけばレクトールは、彼女たちの演奏に釘付けになっていた。目を見開き、幼子のように高揚する彼に気づいた少女たちは、ぴたりと演奏をやめてレクトールを見た。 その瞬間、ヴァイオリンを持った少女の顔が、驚いたように固まった。 「……お母さま?」 ぽつりと漏れ出た声を聞いて、レクトールは我に返る。 「え?」 「あ、いや、ごめんなさい。昔の知り合いに似ていたのよ」 少女はそう言うと、きつそうな印象の目元を上げ、一行を見渡した。 「そのケース。もしかしてあなたたち、楽団かしら?」 「ああ。よく分かったね。改めて、僕の名前はレクトール。僕たちは王都まで旅をしているんだよ」 よろしくと手を差し出すレクトール。しかし、その途端少女は険しい顔に変わり、隣にいたヴィオラの少女と目配せをした。そして……。 「ねえ、黄色いマントの連中には会っていないわね!?」 「……? ああ、そんな人達は見てないな」 「なら良かったわ。あなたたち全員、今すぐこの先の路地裏に入りなさい。話はその後よ」 急に態度を変えた少女に、レクトールたちは何が何だか分からぬまま路地裏へ押し込められた。レンガに挟まれた閉鎖的な空間に移動したレクトールは、壁面に小さな扉があることに気がついた。ヴァイオリンの少女がその扉を開くと、外からは想像もつかないほど雄大な空間が拡がっていた。 「すごい。まるでコンサートホールだ」 「私たちの住処よ。さあ入って」 急かされるままに全員が中へ入ると、ヴァイオリンの少女とヴィオラの少女はようやく元の笑顔に戻った。 「ここはね、見かけだけ綺麗な偽りの街よ。黄色いマントの『魔女狩り』連中らが支配しているの。彼らは市民権を持たない旅人を見つけると、異端者と判断して全てを奪うの」 「持ち物も、心も身体も何もかもだ。王都まで行くことの出来た旅人を、私たちは知らないね」 ヴァイオリンの少女の言葉を引き継ぐようにして、ヴィオラの少女が皮肉めいた口調でニヒルに笑った。 「それならどうして助けてくれたんだ? 旅人を匿った君たちも、その『魔女狩り』とやらに見つかればただでは済まないと思うが」 「そりゃあもちろん、君たちが私たちと同じ音楽を志す仲間だからだよ」 「同業の情ね」 ヴァイオリンの少女は腕を組んで頷くと、レクトールに右手を差し出した。 「さっきは挨拶を遮っちゃってごめんなさい。私の名前はリーネ。ヴァイオリン奏者よ」 「私はフレイヤ。ヴィオラ奏者だよ。私たちは姉妹なんだ。とは言っても、上にもう二人いるんだけどね」 「きょうだいが多いっていいよね! あたしはライム! こっちは双子のノクスだよ!」 「……よろしく」 ぴょんっと飛び跳ねて我先に姉妹の手を握ったライムと、彼女を見守りつつ会釈するノクス。とても似ているのね、と笑って、リーネは握手を返す。その横で、フレイヤは品定めするようにレクトールを眺めていた。 「む? どうしたんだ?」 「ねえ、匿ったお礼に一つ頼んでいいかな」 「ああ! もちろんだ。僕にできることなら何でも言ってくれ」 「それは助かる。じゃ、私たち姉妹をこの街から連れ出してもらおうか。いい加減『魔女狩り』連中の統制には我慢ならなくてね」 フレイヤは僅かに目を伏せると、楽団の仲間たちと言葉を交わしているリーネを見やり、長い息を吐いた。 「あの子はご覧の通り目立ちたがりな性格だし、上の姉さんたちも伸び伸びとした人たちだからね。こんな閉ざされた街に置いておくのはあまりに可哀想だ。どうだろう、私たち姉妹を君たちの楽団に加えるというのは?」 「それは幸運な申し出だ。二つ返事で承知しよう」 レクトールは任せたとばかりに胸を叩く仕草をする。最早彼の癖とも言える行動だったが、それを見たフレイヤは何故だかとても驚いたように目を瞬かせた。 「……似ている」 「え?」 「ああ、いや、何でもないよ。それより、もうすぐ姉さんたちが帰ってくる。事情を説明しないとね」 フレイヤは誤魔化すように目を逸らすと、再び扉の方へと向かっていったのだった。 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── (🍭あんたたち、この街にいたら殺されちゃうかもね! ……あーもう、しょうがないんだから!ついてきなさいよ!) (🪙最初から助けるって言えばいいのに) 🍭純情少女と勘違いされて 全校男子に狙われた あぁ 初体験 世にも恐ろし 大出血乗り越え 恥ずべきものはなし 🪙朱いりぼん ヒラヒラさせて バイバイ プリマの放課後だ あぁ 青春さん 汗と涙でベタベタになってなんか大変そうですね 🍭ゆらりゆれるジャンパースカート 🪙ひっそり覗くスラックス 🍭🪙目と目を合わせて 戸惑うフリした 校内男女の関係 (🍭いい? 綺麗なのは外側だけ) (🪙この街の内側は……知りたくなかったね) 🍭🪙ねぇ ディン・ディン・ダン♪ さあ 踊りましょう じょうずに飛び跳ねて エッサホイサ 🍭劣等感 ほら恥ずかしい それも人生だ (🍭王都に行くの?……お願い、私たちも連れてって!) 🍭🪙ねぇ ディン・ディン・ダン♪ さあ 踊りましょう もっともっと激しく エッサホイサ 🪙絶頂感 ほら最後まで 面倒みてあげる (🪙借りは作ったはずだよ。連れ出してもらおうか) 🍭🪙うわばきで シャル・ウィ・ダンス ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 🍭リーネ(cv:海咲) 🪙フレイヤ(cv:白水) Illust:常磐 光紀 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 〖PLAYLIST〗 vol.1 https://nana-music.com/playlists/4117492 vol.2 https://nana-music.com/playlists/4117493 #HEL_L_ETTER #LA_ORQUESTA #バレリーコ #みきとP