#勿怪面妖奇譚
话中有话10/いのちの食べ方
「ヒィッ!」
「化面屋さん! なんで、どうなってるの!? この面があれば私達は──」
怯える三人に、にっこりと笑いかける化面屋。
「イた !」「いタ!」「タ!」
次第に集まる獣達。包帯の目がこちらを見ている。どれだけあるか分からないほど、無数の目が。
「化面屋、お前もグルだったのか」
「お願い、お願いだから許して、助けて! おねがい……」
「ハハ、どうしても見逃して欲しいというのなら相応の対価が必要でしょう」
喉の奥を鳴らしながら、化面屋の目が歪む。
「貴方がたは本当に、その面が無償だと信じていたのですか?」
聞いた事のない冷酷な声が、脳を直接殴るように響いた。
「この世にタダより怖いものなどありませぬ」
麻昼はいよいよ泣き始めた。化面の下は涙でぐちゃぐちゃになって、もう拭うことも出来なかった。
「化けた人間はすぐに分かる。その箔はなァ、お前達が人間であることの証明なのさ」
化面屋の背後から現れた御影の言葉で、朔夜は思わず額に触れた。その紋様はあくまで自分達の所有物という証拠でしかないと思っていたのだ。
その二人を見て、朝緋は酷く後悔した。自分のことを大馬鹿者だと心の中で罵った。
「おね、がい。悪いのはあたしだから、この二人は許して。お願い……お願い、します」
「友を庇うその心意気や良し。ですが貴方一人ではその価値と釣り合わないんですよ、お嬢さん」
「あァ、可哀想にな。だがお前ら全員自業自得だ。恨むなら自分を恨め。
それに、お前らは一体どこから帰るつもりだ?」
朝緋らは息を飲んだ。
現世からは壁の道を通ったけれど、妖世界の壁は壁のまま。ここからの帰り道がどこにあるのか、一向に見当がつかなかった。
化面屋が一歩歩みよる。三人は後ずさるも、もう逃げ場などなかった。
「さあ、皆々様。
──化けの皮は剥いでしまいましょう」
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ㅤ ㅤ Voice actor
化面屋🎭🦐
御影🚬あじのもと
朝緋🦊Annzu
麻昼🐏R子。
朔夜🐦nagi
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