同じ土地の50年ほど前に移動した説と、異界・平行世界へ転移してしまった説はどちらも立証のしようがなく、曖昧なまま私の次なる情報提供が急がれたが、本当にこの空間には何も無いのだ。時刻表も改札も駅舎も休むための長椅子さえない。一応ホームの端はあるし、線路もある。本当に打つ手がなくなった時は線路を歩くことにしていた。
(そういえば、あの日、駅を乗り過ごした時も線路を歩いて帰ろうか迷ったんだった)
元きた道を戻れば帰れる。そう思ったけど、危ないし迎えが呼べたから実行はしなかった。ついに実行する時が来たというのか。ずっと歩き続けるほどの精神力はないが、帰れないまま無駄な時間を過ごす方が辛い。定時連絡を入れる約束をして、私は線路を歩き始めた。
#ハイセンノウワサ
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