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【M35】おっちゃかわいもな【石川4】
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羽咋(はくい)郡富来(とぎ)町 伝承:宮本ふよ/1908年生 採集:小林輝治/1980年 採譜:中沢静子/1980年 収録:全集10上 キー:譜面Dm/歌唱Cm 譜面テンポ:♩=66 ◼️ おっちゃかわいもな蚕(かいこ)の虫や 衣裳はがれてまるはだか 雨の降る時ゃにわとりかわい 人の軒端にしょぼしょぼと わが子かわいけりゃ子守りまでかわい 抱(うだ)きたいわの守りともに おっちゃ死んだてて誰(だ)りゃ泣いてくりょや 山のからすと親ばかり ◼️ おっちゃ:自分、私。五木の子守唄の「おどま」「おどみゃ」に似た響き かわいもな:可愛いもんね〜、みたいな響き? 守りともに:子守りと一緒に 死んだてて:死んだとしても 泣いてくりょや:泣いてくれるだろうか。ここの歌詞も五木の子守唄に類似 ◼️ 富来出身の作家加能作次郎が小説「お鶴と宗吉」(大正9)の中で紹介している歌でもある。「その哀しげな旋律(メロデイ)が、少年宗吉の胸に喰ひ入るやうに韻(ひび)いた」──と全集の注にあります。歌っていたのは守り子でしょうか。歌詞は分かるようで分からない、というのが正直な印象。一番は自分を可愛いとしながら、続く「蚕の虫や/衣裳はがれて丸裸」は、その姿を哀れんでいる響きがします。二番の「わが子かわいけりゃ子守りまでかわい」「抱きたいわの守りともに」も、そうして欲しいという願望なのか、そんなふうには扱われないという皮肉なのか、どうもハッキリしません。全体のトーンから感じたのは、しょせんわが子のようには扱われないという、守り子の心情でしたが。

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