模擬戦 第2試合: クローVS アリス・ショーヴィン
"貴方達、普段使っている武器はナイフよね…今回は模擬戦だから、これ"
リズ様から渡されたのは木製のナイフ。
普段の武器よりも軽いそれは、少し心許ない。
「貴方が今回の相手ね…宜しくね」
「は…はい!宜しくお願いします!」
少し緊張した面持ちで私の目の前に立っているのはクロー。
休憩室で庭師の人達が"努力家でまっすぐな人"と話をしているのは聞いたことがあった。
(死角になる場所をよく把握してる。戦闘時の人の動きを観察して身に付けたのね…でも…)
相手は最初こそこちらを気遣うような表情を浮かべていたが、決定打となる攻撃を当てられずにいる事で次第に焦っているように見えた。
「ふふ、実はね…リズ様に戦い方を教わった時にある程度、私も死角になる場所を覚えたのよ。後は…」
相手の身体のある一点を抑えた瞬間、クローの口から「えっ」と、声が漏れた。
そこは人の動きを止めるのに効果がある箇所。
「身体の"仕組み"に関しては仕事柄よく知っているから…今回は相手が悪かったわね」
ナイフを持っていた手を、大きく振り被った。
【勝者: アリス・ショーヴィン】
(強くやりすぎたかしら…いつもの癖が出ちゃったわね)
(クッソ痛かった)
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