キリエを歩く【フィー】
くー
キリエを歩く【フィー】
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色々忙しい1年だったけれど…フィーは園芸店のお気に入りの椅子に座った。…落ち着くなぁと小声で呟く。ああ、やっぱりこの日常が1番素敵だ。
春先、最も華やぐ季節。フィーの店も色とりどりの花に彩られ、店から見つめる商店街の大通りが明るく見える。フィーはその風景を楽しそうに眺めていた。褐色の人間、犬の獣人、ドワーフ、白人、馬の獣人、エルフ…花に負けない人種の華やかさ。多種多様の人々が道を行き交う。
…私は何故、純血のフェアリーなんだろう…。
小さな手で頬杖ついた。この血のおかげでフェアリーの事を沢山知れた。自分の魂の生まれ変わり、フェアリーの祖と共にあったユニコーンの事も。
「とはいえ、私には事が大きすぎて…。なんで、聖地や世界樹やシルフは、私に声をかけたの?」
好奇の目から逃げて、この身を不便に思いながら引きこもっていた私に…。
「こんにちわ」
いけない!考え事をしすぎてお客の気配に気づかなかった。バッと顔を上げると、見慣れた人物が立っていた。
「園長!?」
「ふふ、流石フィーちゃんね。植物園の付属としてのお店だったけど、今では植物園より人気だわ。植物園のお花とフィーちゃんが仕入れているお花のおかげで、いつもお花で溢れてるって評判なのよ。それにしても、世界樹の奥にしかないような珍しい株もあるわ…一体どこから持ってきているの?」
そういえば、自分が用意している植物については園長に詳しくは話していなかった。この血の生まれた聖地、私の大切な場所…。フィーは不意にその場所を、自分に生きる道を与えてくれた園長に見せたくなった。
「園長…!今度また花を探しに行くのですが、良ければ一緒に来て欲しいです。あまり知られたくない場所ですが、私の大切な人には知って欲しくて…」
園長はシワの寄った優しい手でフィーを撫でた。
「まぁ…嬉しい。ぜひ連れて行って頂戴な」
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クエストにお付き合い頂き、心から感謝致します。貴女の背に花開く羽は何処へ貴女を導くのでしょう?
是非、貴女の答えを教えてください。その歌声にのせて…
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