キリエを歩く【メアリ】
くー
キリエを歩く【メアリ】
- 6
- 0
- 0
ライブの後、宿のない三人を家に泊めた。いつも一人の小さな家に、今日の夜だけは嘉嘉の笑い声が響く…修行に明け暮れた、辛くも幸せだったあの日々の様な…。
次の日の昼下がり。即席のバンドを組んだ楽団達もキリエを立つと聞いていたメアリは、三人を引き連れて門の前で合流した。皆で語り笑い合う幸せな時間も長くはない。メアリは別れを惜しみながら力いっぱい手を振って見送った。
…また一人。メアリはキリエの門に向き合うと、巨大な門をまじまじと見つめた。夢を追ってキリエから出ていった時も、1人前になって帰ってきた時も…こうやって独りぼっちでこの門を見上げていたなと、メアリは思い出した。冷たさを残す乾いた風がメアリを撫でる。
『どこに旅立ち進んでいっても、お前の魂は人を笑顔にし愛を溢れさせる。けどな相棒、俺らは風だ。どんなに幸せを届けても、結局はいつも一人なんだ。それでも、お前の魂は謳う事を辞めないでいれるか?お前は何の為に、笑顔を届けるのだろう?』
どんなに楽しく華やかで賑やかな催しも、必ず終わりは訪れる。ショーの花として生きるメアリはその寂しさをよく知っている。そしてメアリの人生そのものも、彼女の明るさと裏腹に寂しさを沢山見つめてきた。
斉天大聖の風に、嘉嘉の証である花飾りが頭の上で揺れる。メアリは鞠と扇を取り出し、門をくぐってキリエの広場へと歩み出した。
‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦
クエストにお付き合い頂き、心から感謝致します。貴女が届けた笑顔は何を教えてくれたのでしょう?
是非、貴女の答えを教えてください。その歌声にのせて…
コメント
まだコメントがありません